研究紀要第68号 「学校経営改善に関する研究 第2・3年次」 -044/075page
13. 教育目標の理解を深める手だてについて
―特に,保護者への理解について―(1) 問題点
前年度のアンケート調査結果からも明らかなように,保護者の教育目標の理解の程度は,教師・児童生徒の場合と比較してみると,著しく低いし,理解のための努力もあまりなされていないことがわかる。
すなわち,教師の場合は,「よく理解して指導している」が52%(N=314)であり,「ほとんど関心がなく理解していない」のは約24%(N=314)である。
また,児童生徒の場合,「ほとんど関心がなく理解していない」は,約14%(N=314)となっている。
教師・児童生徒の教育目標理解については「言葉としては覚えているが理解不十分」や「理解しているが,やる気に欠ける」なども相当数あり問題がないわけではないが,教育目標そのものの見直しなども含め,教育目標を理解するための努力が重ねられていることをうかがい知ることができる。しかし,保護者に対して教育目標を理解させる手だて等については,ほとんど行われていないのが現状である。すなわち,「教育目標をよく理解し,家庭での教育にも役立てている」保護者は,わずかに約8%(N=311)という現状であり,「ほとんど関心がなく理解していない」や「言葉としては覚えているが理解不十分」が,残りを占めているのである。
ただし,この結果は,保護者自身の回答ではなく,保護者の教育目標理解について教師の推測したものである。
したがって,教育目標の理解について保護者に直接問えば,あるいは,上記の結果も大きく変わるかもしれない。しかし,回答者である教師が,保護者は教育目標についてほとんど理解をしていないという見方をしていることは,とりもなおさず,保護者に対して教育目標理解のための手だてをあまり講じていないこと,家庭で教育目標達成に向けて援助できるよう教育目標をより具体化して示すことなどを十分に行ってはいないことを表していることになろう。
わずかに行われている事例を調べると,教育目標を保護者に理解してもらう方法としては,教育目標そのものを印刷して各家庭へ配布すること,学校だよりなどの通信紙へ掲載すること,授業参観日などに知らせることなどが行われている。けれども,この場合も教育目標そのものを単に知らせるだけにとどまり,その意味する具体的な内容の理解までは意図していないことが多く問題点と思われる。
(2) 基本的な考え方
いうまでもなく,学校の教育目標は教師だけでなく,児童生徒や保護者も十分に理解をしていることが望まれる。教師と児童生徒への目標理解については,各学校でいろいろな手だてがとられていようが,保護者に対しても,教育目標理解への手だてを講ずる必要があろう。それによって,学校生活においてだけでなく,家庭生活においても教育目標達成へ向けてのはたらきかけが可能となり,学校と家庭の連携効果がもたらされると考えられる。
ただ,教師や児童生徒の場合も含め,教育目標の理解を図るにあたって,ともすると教育目標を平易な表現に改めさえすれば十分と考えやすいがそれだけでは満足はできない。
なぜなら,単なる言葉として教育目標を知っていても理解していることにはならず,どういうことを,どのように,どんな場で実践すれば目標達成につながるのかを十分把握した形の具体的な理解を目指さなければならないと考えるからである。
(3) 保護者に教育目標を理解させた例 1) 教育目標の理解を深めるための計画から ア. 目標の分析・構造化と学校経営案作成3月 イ. 次年度入学児童保護者への説明会 3月