研究紀要第68号 「学校経営改善に関する研究 第2・3年次」 -053/075page

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2. 教育目標と学級における生徒の諸活動の関連づけについて

 (1) 問題点

 「教育課程の編成にあたって,教育目標を学年学級の目標にどのように具体化しているか」の設問に「段階的に十分具体化している」という回答は,約68%(N=138)であるが,小学校に比較して中学校の場合はやや低い率を示している。

「表現を少し変えて学年・学級の目標にしている」と「具体化はほとんど行っていない」が残りの3分の1を占めており,ここに問題がある。

 また,「教育目標を,日々の教育実践に生かしているか」の設問に対して,中学校の場合「生かしている」と答えたものは,約39%(N=137)で小学校の約53%(N=308)に比べ非常に低い。更に,「どの領域で生かしているか」の設問において,学年・学級経営を指摘したものは,小学校の約34%(N=289)に比較して,中学校の場合わずかに約26%(N=123)にすぎない。

 (2) 基本的な考え方

 教育目標を一人一人の生徒に具現させる教育の場は,学校が行う教育活動のすべてにおいてであるということはいうまでもないが,中学校といえども,その主たる場は学級である。したがって,学級目標はもちろんのこと,学級における生徒活動の内容に教育目標がいかに具体化されているかということが,教育目標の具現に大きくかかわってくるものと考えられる。

 学級における生徒の活動は.教科・道徳・特別活動のように,教育課程にその指導計画が明確に位置づけられているものと,それ以外の生徒の活動がある。つまり,毎日行われる清掃・給食活動をはじめ,学校行事への参加の仕方など学級生活から生まれる必要なことを中心に活動する朝・帰りの学級活動,さらに放課後に延長される活動(これらの活動を「学級における生徒の諸活動」とする)である。これらの活動は学級経営の中で計画され,実施されるものであるから,教育目標を関連づけた学級経営計画が必要になってくる。

しかし,教科担任制をとる中学校では,学級担任制をとる小学校に比較して教育目標の具現の場としての学級の経営に対する認識に甘さがあるようであり,まず,学級経営計画の整備が求められよう。

そこで,学級が教育目標具現の主たる場であることを確認するとともに,教育目標を学級における生徒の諸活動に関連づける基本的な考え方として,次のことを実践していく必要があると考える。

1)  教育目標を年度重点目標・学年目標・学級目標に具体化し,実践可能なものにする。
2)  1)をふまえた「学級経営計画(経営案)」を作成する。
3)  「学級経営計画」に基づき,教育目標との関連づけを明確にした「学級における生徒の諸活動の指導計画」を作成する。
4)  「学級における生徒の諸活動」の実践を教育目標具現の観点から,反省・改善する。
 
(3)  教育目標を学級における生徒の諸活動に関連づけた例
1) 教育目標の年度重点目標・学年・学級目標への具体化

教育目標の年度重点目標・学年・学級目標への具体化


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