研究紀要第68号 「学校経営改善に関する研究 第2・3年次」 -055/075page
(4) 教育目標の具現を目指す学級における生徒の諸活動の実践例 学校行事である校内陸上競技大会に学級として参加する場合,保健体育,道徳等においても指導されるが,学級の諸問題の解決の場として学級会活動で指導されることが多い。しかし,この時間だけでは足りず,朝や帰りの学級活動の時間がむしろ中心となることが多い。この活動を学級における生徒の諸活動として取り上げた例である。
1. 主題 校内陸上競技大会への参加 ○ 関連指導 保健体育・道徳・学校行事・学級会 2. ねらい 学校行事―校内陸上競技大会への学級としての参加活動をとおして,教育目標の具現につとめる。 3. 指導計画 (1) 実施計画の理解(学級会活動) (2) 参加計画の立案 1) 体育係原案作成(放課後) 2) 原案審議(帰りの学級活動) 3) 選手・役員の選出(帰りの学級活動) 4) 自分の参加計画立案 (3) 練習(放課後) (4) 反省(帰りの学級活動) 4. 指導過程 最も苦労したのは,最初の話し合いである。生徒たち全員が部活動に参加しているため,学級が優勝するために何を,いっ,どうするか話し合いをしようという提案をしても「そんなの無駄だよカのある人が勝つに決まっている。」と言うしまつ。担任が,これを機会に自分の体力の向上に努めるとともに,学級全体で一つの目標をもって協カしあって参加することが大切なことであることを話し,理解をうながした。したがって参加計画は,目標達成にかなったものとなるよう指導するとともに,その練習過程にあっては,思いやりの心をもって,互いに励ましあい,協力しあうようにした。その結果,学年優勝をしたが昨年とは一味違った優勝を味わうことができた。
(5) むすび
生徒たちが毎日活動している学級こそ,教育目標の具現の場であり,その指導の場である。したがって,その学級の経営に教育目標の具現の成否がかかっているといえる。
前記の実践例は,校内陸上競技大会への学級の参加を学級会活動にからませながら教育課程外の学級における生徒の活動を中心に実践したものである。活用にあたっては,教育目標から指導実践の場としての学級の生徒の諸活動への具体化の道筋を構造的にふまえ,その学級の実情に応じ,形式にこだわらず指導にあたる必要があると考えられる。
なお,教育目標は,学級の諸活動だけで具現化されるものではなく,全教育活動で具現化されるものであるから,その評価は総合的に行うのが一般的であるが,学級の諸活動の指導の評価として反省を加え,事後の計画に生かすとともに,生徒一人一人の自己の計画に基づいた評価・反省をさせ確かめていくことが大切であると考えている。