研究紀要第69号 「『関心・態度』の評価に関する研究 III」 -000-01/058page

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まえがき

ここ数年来,各学校においては,教育改善についての関心が高まり,授業の質的改善を図るため,指導と評価の工夫がなされている。昭和58年11月15日付け中央教育審議会の教育内容等小委員会審議経過報告では,「自己教育力」,すなわち,主体的に学ぶ意志,態度,能力の育成を今後特に重視されなければならない視点の一つとして挙げているが,これはいわゆる情意面の教育の重要性を示唆するものであり,児童生徒個々の興味・関心,適性,能力等に配慮した教育活動の展開を強く求めているものと言える。

また,福島県教育委員会策定の昭和61年度「学校教育指導の重点」の中では,前年度に引き続き,「学習指導の改善・充実に努める」こととし,その具体策の一つとして,「学習指導についての形成的評価の在り方,児童生徒の情意面の評価の在り方について改善・工夫を図る」ことを挙げている。

当教育センターでは,「指導と評価の一体性」の評価観に基づいて,確かな授業を具現することは,児童生徒一人一人の学力を伸ばすために重要な課題であるとの認識に立ち,昭和58年度から4か年計画により「学習指導と評価に関する研究」に取り組んできた。

第1年次は,当面する「指導と評価」の諸問題について,県内小・中・高等学校の実態を把握し,学習指導と評価の在り方を追究するために調査研究を行った。その結果,今後の研究課題は「関心・態度など情意面の評価への対応」にあるととらえ研究を進めた。

第2年次からは,研究テーマを「関心・態度の評価」とし,この年次には,実践研究のための理論を構築するとともに,それに基づいて,小学校社会科の小単元を例に,福島市立笹谷小学校の研究協力を仰いで検証授業を行い,その分析・考察を通して,観察法,自己評価法による「関心・態度」の評価の在り方を研究をした。

第3年次は,小学校音楽科について福島市立福島第一小学校に,中学校外国語科(英語)について福島市立福島第二中学校にそれぞれの研究協力を仰ぎ,検証授業を通して両教科における「関心・態度」の評価の在り方を追究した。

最終年次の昭和61年度は,前年度までの研究成果や問題点を踏まえ,小学校国語科,中学校保健体育科を研究教科とし,福島市立鎌田小学校,福島市立北信中学校の研究協力をいただいて検証授業を行い,それぞれの教科における「関心・態度」の評価の在り方を追究してきた。このたび,その成果を研究紀要としてまとめたので,各学校での教育活動に十分活用していただきたい。

終わりに,本研究の推進に当たり,多大の御協力をいただいた研究協力校の校長先生をはじめ,研究協力員の先生方に対し,心から感謝の意を表する次第である。

昭和62年3月
福島県教育センター所長  折笠 常弘


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