研究紀要第69号 「『関心・態度』の評価に関する研究 III」 -006/058page

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本研究は,「国語に対する関心・態度」の評価の在り方を明らかにすることをねらいとするものである。そこで,小学校の文学的文章教材を取り上げ,理論研究に基づく実践研究を試みた。その結果を要約すると次の通りである。
(1) 情意面を高める手だてとして,指導計画の中に作品理解を助けるためのスケッチによる情景描写の 活動を取り入れたことは,効果的であった。
(2) 情意面の評価法を改善するためには,認知・技能面と深くかかわった研究が必要であることがわか った。
(3) 情意面の評価を的確に行うために,評価基準を十分達成(+),おおむね達成(0),達成不十分 (−)の3段階に設定したことは,効果的であった。
(4) 情意面の評価は,児童の表出した行動特性を手がかりとして行われる性質のものである。したがっ て,児童の実態に即した基準設定が不可欠であり,今後さらに綿密な検討が必要とされる。

1 国語科における研究のねらい

この研究は,指導要録の「国語・観点別学習状況」の「観点」の一つにあげられている「国語に対する関心・態度」の評価の在り方を明らかにすることが主なねらいである。

つまり,児童が今,その教材に対して何を考え,何を学ぼうとしているのか,また,どのように関心を持っているのか,それぞれの児童の心的内面がわかる「国語に対する関心・態度」の評価の在り方を明らかにしようとしたものである。

従来の評価は,知識,理解,思考といった認知的,技能的目標が主な評価の対象となっていた。そのため,児童の授業に対する興味,関心を高めるための指導の工夫が不足していたように思われる。特に問題となるのは,学習に遅れがちな児童の指導である。能力的には遅れているが,興味を持って意欲的に取り組んでいるとき,それに目を向けることが少なく,知識・理解,技能面の誤りやつまずきばかりを指導するきらいがあった。現時点では学習達成度が低い児童がいたとしても学習意欲が高まれば,近い将来向上に転ずることが期待できる。

このように考えてくると,児童一人一人について学習状況を観察し,教師の発問に対する反応,内面的な心的行動の状況,学習活動の実態を把握し,長期的展望に立った「国語に対する関心・態度」の評価が重要になってくる。

したがって,本研究では,「国語に対する関心・態度」について,その評価の在り方を明らかにするために,実践研究の検証授業では,次のようなねらいをもって研究を進めた。

文学的文章教材学習におけるその関心・態度にかかわる目標分析を行い,その目標にしたがって児童の実態を明らかにし,個々の児童の関心・態度に応じた指導をすれば児童の関心・態度はより高まるであろう。

2 研究の進め方

この研究では,国語科における「関心・態度」の評価についての理論研究を進め,その理論を基に検証授業を行い,「国語に対する関心・態度」の評価の在り方を考察する。

(1) 理論研究の内容

国語科において,「関心・態度」をどのようにとらえるのかを次の事柄について明らかにする。
[1] 「関心・態度」の意味
[2] 「関心・態度」の階層性


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