研究紀要第69号 「『関心・態度』の評価に関する研究 III」 -042/058page

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[2] 評価の場面

課題解決的な学習を進める体育学習においては,次のような場面での評価が考えられる。

○課題を把握したり,確認する場面。
○課題解決を目指して追求する場面。
○追求した結果について評価する場面。

[3] 評価方法

この研究では,次の方法によって評価した。

○観察法

生徒が示した行動特性から「関心・態度」をとらえようとする方法である。従来も行われてきた方法であるが,ややもすると観察の評価基準があいまいであったり,主観に頼った見方をすることが多かった。ここでは,評価基準を判断するための具体的な行動特性を挙げ,それによって評価することにした。
ところで,身体活動が伴う体育学習では,その動きのスピードや大きさ,正確さなどを観察することによって生徒の情意面を把握しようとするのが一般的である。しかし,生徒の性格や運動能力等には個人差がみられるので,身体の動きだけで生徒の情意面の全てを把握したとすることには危険があるので,表情や言動なども含めた表出された動き全体から生徒の情意面を読み取るように努力することが必要である。

○自己評価法

授業の終末の段階で,学習に対しての取り組みを自由に記述させるとか,評価の観点ごとに記述させるなどの質問用紙による評価である。
この方法は,「関心・態度」の達成目標に対して,自らを内省し,診断評価するものであり,めあてを確認し意欲を高める手がかりを得るためにも大切な評価方法であると考える。

○相互評価法

この場合も自由に記述させるとか,あらかじめ設定した項目ごとに記述させるなどの方法があるが,いずれの場合も,記述した内容について事後に分析して評価する。
また,学習に対しての取り組みを互いに評価し合う方法である。しかし,この場合は,相手の良さを認めようとする心遣いが必要であり,友だちを批判したり,さげすんだりするようなことがあれば,「関心・態度」を評価することが,かえって「関心・態度」を低下させたりすることにもなりかねないので十分配慮しなければならない。

[4] 評価基準とフィードバック

単位時間内に表れる「関心・態度」を観察法によって評価するために,次の視点で評価基準を設定し,併せてその行動特性も記述した。また,フィードバックについては,評価計画の中で具体的に記述した。

(+)…○ 目標に向かって意欲的,積極的な行動を示している状態。
( 0 )…○ 目標に向かって受容的な行動を示している状態。
(−)…○ 目標から離れた行動を示している状態。

〔マット運動において新しい技を克服する場面での評価基準例〕
(+) ( 0 ) (−)
連続技を意識しながら工夫したり,努カして新しい技を練習しようとしている 連続技に組み人れる新しい技を練習しようとしている。 連続技と関係のない技を練習しようとしている。
a 技のできばえを確認するために仲間に観察を頼んだり,観察結果をたずねている。
b 補助を求めて練習している。
c 前後の技のつなぎを組み入れて練習している。
a 技のできばえを確認しないで練習している。
b 補助を求めないで,練習している。
c 前後の技のつなぎを組み入れないで練習している。
a 練習も観察もしないでいることが多い。
b  印以外の種目を練習している。
c 自己の能力では克服できそうもない技を練習している。
(以下略)
※ 行動特性のアルファベットは.順位を示すものではない。

[5] 学習カード

生徒が主体的に課題解決的学習を進めることができるよう,次のようなチェック・カードや学習カードを使用させた。


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