研究紀要第69号 「『関心・態度』の評価に関する研究 III」 -055/058page
む す び
本研究は,評価の機能を学習指導の実際に生かし,授業の質的改善・充実を図るという指導と評価の一体化を目指して,昭和58年度から4か年計画で取り組んできたものである。
研究にあたっては,まず「関心・態度」に関する理論研究により,研究推進の基盤を確立した。さらに小中学校の5教科を研究教科と定め,研究協力校においてこの理論を実際の授業に適用し,その評価の在り方について実証的に追究することにした。
本年度はこの研究の最終年次に当り,これまでに実施した3教科の研究理論と実践研究の成果を踏まえた上で,小学校国語科,中学校保健体育科について研究した。本紀要は,この最終年次の2教科の研究をまとめたものである。
これまでの研究成果としては,「関心・態度」の評価方法,適正な評価用具の選択や組み合せ,評価基準の設定など,実際の授業を通して検証され,手直しされた具体的なものが例示できた。また目標分析や評価目標の設定などの考え方や手順も明確にした。その結果,「関心・態度」を高めるための授業の在り方の例を示すことができた。これらはいずれの教科にも共通するものであるから,当教育センターで研究した以外の教科にもご利用いただけるであろう。また「関心・態度」は低次から高次へと発展する階層的連続体であるという考え方に立って,その階層の具体例を提示し,児童生徒の達成の程度の目安を示した。
「関心・態度」は,いわば児童生徒の心的な傾向性である。したがって,教師は普段から児童生徒をよく見つめ,親密な人間関係を保ちながら,形成的評価などに基づいて指導し,望ましい「関心・態度」を育成しなければならない。そしてその育成した「関心・態度」を評価することこそが,目指すべき指導と評価の一体化の姿であろう。
4年間の研究を終えたいま,この研究が教育現場における「関心・態度の評価」の実践のための一助となることを期待するとともに,それぞれの学校において実践を踏まえた上での,厳しい御意見や御批正を賜るよう切に願うものである。
参 考 文 献
● 小学校 関心・態度 金井達蔵 図書文化 ● 現代教育評価論 梶田叡一 金子書房 ● 情意面の評価を生かした授業設計 梶田叡一序・
福岡教大附属福岡中学校明治図書 ● 「国語に対する関心・態度」の評価
(「国語教育」55年8月号所収)渡辺富美雄 明治図書 ● 学習到達度とその評価に関する研究
(「研究紀要」55年所収)吉井輝雄 香川県教育センター ● 賢治童話「やまなし」を読む 中西市次 高文研 ● 教育評価 梶田叡一 有斐閣 ● 子どもの能力と教育評価 東 洋 東京大学出版会 ● 学習評価の研究 橋本重治 図書文化 ● 指導要録の解説 諸沢正道他 ぎょうせい ● 指導要録記入の手引
福島県教育委員会 ● 中学校 関心・態度 金井達蔵 図書文化 ● 月刊 教育ジャーナル61,2月号
学習研究社