研究紀要第70号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -006/071page

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事例 1

夏休み後の不登校から立ち直った小学生の事例

1.主訴    不登校

2.対象    小学校3年 男子

3.問題の概要

●3年生の夏休み明けから、欠席をする。
●父母がなだめたり、時には、しかったりしても登校しない。
●前夜には、家の人に説得されまた本人も登校するつもりで登校の用意をして寝るが、翌日の朝は腹痛を訴え登校しない。だが、昼ごろには治る。
●家の人が学校のことや勉強のことを話題にしたり、登校を強要したりすると、自分の部屋に鍵をかけ登校を拒む。
●母親にまつわりつくことが多く見られる。

4.資料と解釈

(1)本人(以下A男)に関する資料

●身体
   特に問題になることはない。

●知能、学業等(2年生時)
   知能偏差値 54(教研式)
   学力偏差値 国語69、算数69(教研式)
   欠席:2日(1、2年生時、合わせての日数)

●性格
   おとなしくきちょう面である。まじめに何事にも努力をする。家庭学習や与えられた課題などの提出は、これまで忘れたことがない。自分からは考えをはっきり言えず遠慮がちなところが見られる。

●友人関係
   友達に好かれている。特に、同地区に住む男子4人は仲良しで下校後の遊び仲間である。リーダー的存在ではない。3年の夏休み後半は、県外B市のいとこ(小5年、中1年)がA男宅に滞在した。その間、今までの仲良しグループと全く遊ばず、いとこたちと夢中で楽しく遊んだ。そのため夏休みの宿題をしなかった。

(2)家族に関する資料

●家族構成

家族構成

●家族の性格と養育態度

   祖父:一家の中心的存在で権限が大きい。初孫で後継ぎであるA男を期待しかわいがった。
       また「良い子」「良い成績の子」として育て、A男もそれに応(こた)えていた。
   祖母:家事の一切を取り持ち、養育の中心でもある。A男を祖父同様に「良い子」「手のかからない子」として育てた。
   父親:自分の考えを示すことが少なく、祖父母に子どもの養育を安心して任せている。子どもたちとの接触は少ない。
   母親:A男の養育に関しては、祖父母の言うなりで母親の意のままにならない。妹をかわいがっている。家庭内では口数少ない。
       食品会社に勤め、まじめな勤務ぶりは、会社から高く評価されている。しかし、姑(しゅうとめ)からは何もできない嫁と見なされている。

5.診断


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