研究紀要第70号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -054/071page

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事例 13

家出の繰り返しを改めた高校生の事例

1.主訴    家  出

2.対象    高等学校1年 男子

3.問題の概要  

(1)最初の家出
 高校1年の春休み、本人(以下A男)は、家から新聞配達に出たまま行方不明となった。両親がA男の部屋を調べたところ、スポーツバックがなくなっており、また、机のひき出しから貯金通帳がなくなっていた。このことから、A男の両親は家出と考え、警察に捜索願を出した。それから5日後、B市の警察に保護された。B市で開かれていたモーターショーを見たくて、自転車で家出したということであった。

(2)その後の家出

● 高校2年6月
 自転車でD市方面に家出。理由は特にない。母が集金しておいた現金数万円を持ち、学校を早退し、家出している。

● 高校2年12月
 修学旅行で見たE市の景色が見たくて、自転車で家出。この時は、家からもらった授業料を持って家出している。B市で保護された。

4.資   料

―生物的次元―

● 身体的特徴
 身長168cm、身体が弱い。

● 食 行 動
 好き嫌いが激しい。

● 運動・行動
体育は苦手、部活動もしない。

―心理的次元―

● 知的発達
 中学2年から成績が低下してきた。知能は中程度であるが、勉強をしないため各教科とも成績評定は2(5段階)である。

● 対人関係の特徴
 小学校低学年時は、人前に出たがらなかった。また、年下の子どもと遊ぶことが多かった。高学年になると家の中に閉じこもりがちになり、外で遊ぶことが少なくなった。
 中学校、高校の時期も学級の中では孤立していて、級友と話をすることは少なかった。

● 性格傾向
 <高校での行動および性格の記録>
 おとなしく、学級の中で最も口数が少なく、活発さに欠ける。

性格検査(YG) (高1)

性格検査(YG)(高1)

 C型であり、日常生活ではおとなしくて目立たないタイプであるが、あまり深く考えず軽率に行動する傾向がある。

    問題性予測検査(DAT) (高1)

 MPタイプであり、家庭に対して不適応感を持っている。また、他の資料から対人不適応傾向がうかがえるのに、本人は対人関係は良好であるととらえている認知のズレが見られる。自分自身を 


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