研究紀要第70号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -053/071page
りなさい。お母さんが眠れない!!」と母が強く言ったことにA子は、驚いた。
● A子の計画で、一泊で父親と一緒に、念願のコンサートに行った。以上のように、家族の中でお互いに自分の考えを主張することができるようになった。なお、お互いの主張を受け入れる雰囲気も出てきた。反面、A子は、わがままになり、怠学傾向もみられ欠席することもあった。
以下は、怠学傾向に対する指導援助の経過である。A:学校に行きたいとは思わない。
相:行きたくないわけね。どうするのがよいか考えてみなさい……。登校して卒業するか、卒業して高校を受験するか、それとも……‥もう一度三年生をやり直すか…‥。
A:卒業はしたい。
相:卒業するためには、どんな問題点があるか考えよう。
A:考えたくない。
相:今、考えねばならないことだよ。
A:……友達と仲良くやれるか、授業について行けるか心配だけど、やっぱり登校しなくちゃ……。
相:…… なるほど。進路については、どうするの。
A:高校に行くか‥…。入れる高校でいいんだよね。C高校にするかな。
相:お母さんが希望しているB高校はどうなの。
A:いやだな。B高校は合格できない。C高校にするの。このごろお父さんとお母さんも賛成してくれてるし。(5)文献を用い母親の職場での人間関係や生き方が子どもの症状形成にかかわりがあることを母親に紹介した。その結果、母親は、職場で仕事上での対人関係が子どもに影響することを知って、驚いた様子であった。その後、母親は、仕事上でのつき合い方に気を配るようになり帰宅も早くなり、休日の外出なども慎しむようになった。
(6)食事に関する話題を一切避けた。進路問題も解決し、通常の食生活にもどった。
6.考 察問題行動が解決したのは、
などであると考えられる。
- 医師の診断を初期の段階に求めたこと。
- 食行動の異常に直接対応せず、その背景にある心情についてかかわるようにしたこと。
- 家族がお互いに自分を主張したり、それを受け入れたりする家族関係ができたこと。
- 終末ではあったが、問題の改善に父親が積極的になったこと。
- 指導経過に記載はないが、学級担任の熱心な対応があったこと。