研究紀要第70号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -068/071page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

 に共感的に物事を理解できる人格が大切である。  すなわち、指導援助者自身の人格が非社会的行動をもつ児童生徒に大きく影響を与えるためである。

 6.考  察  と  ま  と  め

(1) 非社会的行動の見方、考え方について

 W.ヒーリーが「非行は個人の生命活動の全体的な流れの中の一小部分であって、他の行動と同じように、内的、及び外的圧力に対する一つの感応を意味している。通常すべての自発的活動と同じように、それは自己表現の一変形である」と述べていることと同じように、本研究では、非社会的行動を"心の訴え"ととらえ論を進めた。このような観点から非社会的行動をあらためて見直せば、おのずとその対応のし方が生まれてくるものと思われる。

 非社会的行動をもつ児童生徒は、反社会的行動をもつ児童生徒に比べて目立たない存在であることが多い。そのため、問題として早期発見がなされにくい。そこで先に掲げた「非社会的行動の種類と内容」は早期発見の資料になるものと思われる。

(2)事例について

 各事例には、当教育相談部で提案している教育相談の進め方、すなわち、「ラポール形成、多次元的な資料の収集、診断、指導仮説、指導援助、フィードバック、他機関との連携」の手法が効果的に生かされている。今後、問題の改善や解決に大いに活用できる方法と考えられる。

(3)指導援助の基本について

 指導援助にあたっては、事例にも見られるように、問題の本質を見極めた上での計画的な対応が基本と思われる。さらに、指導援助者の人間性が問題の解決に大きく寄与するものと思われる。そのため、常日ごろ指導援助者自身、自己成長のための研鑚が大切と認識させられた。

 以上を総括してみると、事例を通して帰納的に得た指導援助の結論は、前ページ(2)で集約したように、非社会的行動をもつ児童生徒をよく理解した上で、59、60年度に研究を行った反社会的行動をもつ児童生徒に対する指導援助の基本と一致を見たことである。

 7.今後の課題 ―第2年次の計画―

 本研究と59、60年度の「反社会的行動をもつ児童生徒への指導援助」の研究をもって、一応、問題行動をもつ児童生徒への指導援助、教育相談の進め方の基本線は結論を得たものと考えられる。

 問題行動の改善や解決には、教育相談の流れ―資料収集、診断、指導仮説の段階をふまえた指導援助とこれらへのフィードバック―をふまえることが基本となる。しかし、それ以前に、指導援助者自身の人間性が問われることになる。

 そこで、2年次には、学校現場に事例を求め、指導援助者自身のことにまで問題点を掘り下げることを基に問題の解決をはかる研究を予定している。

 具体的には、次の内容を中心に研究を進めていく。

(1)小、中、高校に事例を求め、本年の研究成果を活用し、さらに実践研究を深める。
(2)望ましい指導援助者としての教師像を探り指導援助者自身の自己成長まで含めた指導援助のあり方を追求する。


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。