研究紀要第71号 「学校の経営過程における現職研修のあり方に関する研究 第1年次」 -002/126page

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II 研 究 の 構 想

1.本研究の基本的方向

(1) 「学校の経営過程における現職研修」
 各校には学校の教育目標が掲げられている。この目標には,全ての学校がめざす豊かな人間形成の達成目標,及び,その学校の教育課題から生まれた実践指標が含まれていると考えられる。
 各校はこの目標達成のために,計画−実施−評価の経営過程を通し,全教育活動をあげてその具現に努力している。そして,その実践の原動力の一つとしてその学校の現職研修が位置づけられている。したがって,現職研修は,各学校の教育目標の達成をめざし,学校課題から研究主題が摘出され,研究実践を通してその成果が,児童生徒に直接フィードバックされるものであり,教師自身の日々の教育実践活動の改善充実にも直接結びつくものであることが基本要件となろう。
 また,各校における現職研修は,一般に,ア、個人の研究主題による個人研修,イ、全教職員共通主題による共同研修,ウ、校内における実技研修,エ、小・中・高教研等の校外研修,オ、他校の研究公開に参加しての校外研修,カ、校外で受けた研修の伝達研修等が考えられるが,本研究においては,学校課題を全教職員が協働で解決する学校経営の一環として行う「校内研修」にしぼり,そのあり方を追究することにする。

(2) 「自己啓発に支えられた校内研修」
 前年度実施した研究主題設定のための予備調査の結果,「校内研修を自己啓発に支えられた研修に改善すること」が課題として浮かびあがった。そして,課題解決のためには,教職員全体の中での個々の教師の自己啓発をどう図っていくかということが最も重要であると考えた。
 「自己啓発」は,もともと個人の意欲にかかわることであり,個人の校内研修への意識が基盤となるが,本研究においては,「校内研修を推進する過程で自己啓発が図られ,それが相互啓発に結びついて全体が向上していく研修」を自己啓発に支えられた研修とおさえた。そして,そうした研修にするために「校内研修推進にあたっては学校の現状実態をふまえて,意識態勢・組織体制づくりをどのようにし,どう企画・運営していくべきか」を研究内容として追究していくことにする。

2.研究の視点

 予備調査等の結果から,現状としての校内研修推進上,自己啓発を阻害する要因は数多く考えられたが,本研究においてはそれらを改善するために,計画一実施一評価の各段階において,最も自己啓発に結びつくと考えられる次のような要件をふまえて,そのあり方について実践的に研究を深めていくようにする。

 < 計画の段階
○ 全教職員での学校課題摘出 ○ 共通理解に基づいた研究主題の設定 ○ 学校の現状,個人の特性を生かした研修組織 ○ 研究の成果が累積される推進計画樹立 等
 < 実施の段階
○ 学校の現状に即した研修時間の確保 ○ 個人の研修意欲を喚起するリーダーのあり方 ○日々の指導に生かせる授業研究 ○ 協働意欲を高める雰囲気づくり
 < 評価の段階
○ 日々の授業に結びつく研修評価 ○ 研修成果の活用のしかた ○ 評価資料の収集・提示・活用のあり方

3.研究計画(昭和62〜64年)

第一年次 1.研究構想の設定
2.予備調査の検討と理論研究
3.アンケートによる実態調査
4.調査結果の分析と考察
5.改善の方策検討と協力校選定(第一年次研究紀要発行)
第二年次 1.研究協力校との実践研究
 ・ 具休的な手立ての提示
 ・ 協力校での実践
 ・ 協力校からの資料収集・整理・考察
2.本年度のまとめと次年度の課題設定(第二年次研究紀要発行)
第三年次 1.前年度課題をふまえた改善方策の提示
2.研究協力校による実践研究
3.主題研究まとめ紀要構想執筆(主題研究紀要発行)


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