研究紀要第77号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -134/137page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

6.考察とまとめ

 本研究は,帰納的な研究手法を用いた。これは学校現場における教育活動の中に,予防的な指導援助がなされていることの予想を前提にしたためである。

(1)予防的な指導援助のとらえ方について

  当教育相談部における過去4か年にわたる治療 的な指導援助(反,非社会的行動を持つ児童生徒 に対する指導援助)を基盤に予防的な指導援助の とらえ方を試みた。このことにより,指導援助の 対象と内容が明確になり,教育現場で焦点化され た指導援助ができることにつながると思われる。

(2)調査について

  予防的な指導援助についての調査を,教師の側 と児童生徒の側とから実施した。これにより,児 童生徒にとって,より望ましい予防的な指導援助 の要点と基本的な対応を焦点化することができた

(3)事例について

  予防的な指導援助を実施した結果,効果がみら れた事例には,共通した事項やかかわりがみられ た。そのため,予防的な指導提助の要点と基本的 な対応を集約することができた。

(4)予防的な指導援助の要点と基本的な対応について

 調査と収集した事例,また,当教育相談部での相談事例から,帰納的に予防的な指導援助の要点と基本的な対応が集約できた。さらに,これらの要点と基本的な対応が問題行動の発生予防になることを理論的に説明した。このことは,指導援助を構造的に進めるために役立つものと思われる。

 予防的な指導援助の研究は過去の文献に多くの例を見ない。そのため,本研究は,予防的な指導援助のとらえ方を明確にすることから始め,問題行動の形成と予防過程に,予防的な指導援助に必要な要点と基本的な対応が密接に関連することを構造的に説明した。これら一連の研究は,予防的な指導援助について,今後,一つの参考資料になるものと思われる。

 第二年次の研究は,予防的な指導援助に直接活用できる具体的な内容と,参考になる実践事例を中心に集約する予定である。

 本研究に当たり,ご協力いただきました研究協力委員,調査の協力校並びに調査に回答いただきました先生方と児童生徒の皆さんにお礼を申し上げます。

 なお,研究の特殊性から研究協力委員の氏名並 びに研究協力校名の一切の公表を控えさせていた だきます。

<研究プロジェクトメンバー>

斎藤 健一  阿部 貞夫  佐久間 益郎  畠腹 桂子  石岡 恒憲  赤塚 公生
伊藤 雄二  菅井 一良  玉  川 邦夫  小林 淑人  荒   敏久

<参考図書>


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。