研究紀要第77号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第1年次」 -133/137page

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(3)問題行動の形成と予防過程

問題行動の形成
〔不登校の例〕
素因1=
  • 問題行動につながる身体,心理,性格,行動面の問題点(体力がない,緊張しやすい,内気,神経質,友達が少ないなど)
形成要因=
  • 問題行動に走りやすい状態を形成する要因(親の過剰な期待,両親の不和,友達とのトラブルなど)
素因2=
  • 問題行動に走りやすい状態(学校生活に強い不安や緊張を持ち,友達がいやで集団から逃避しやすいなど)
誘因=
  • 問題行動の直接の引き金となる要因(家庭や学校生活で受ける様々なストレス,いじめ,けんか,親や教師のしっ責など)
抑制要因=
  • 問題行動の発生を抑制する要因(行動力,規範力,自己決定力,自己主張力,耐性,自尊心など)
 
予防過程

 問題行動は,『素因1』に『形成要因』がはたらいて『素因2』が形成され,これに何らかの『誘因』がひきがねとなってはたらいて発生するものと考える。しかし,このとき素因2の形成や問題行動の発生を抑制する力のはたらきがあれば,問題行動への進行を遅らせたり,食い止めたりすることが可能である。

問題行動発生の推移

素因+形成要因+誘因 問題行動発生の推移 抑制力

 予防援助とは,本人,家族,学級全体への援助を通して,素因の改善や解決,形成要因と誘因の減弱や除去,並びに問題行動の発生をよくせいしている何らかの要因『抑制要因』を強化することである。そのためには,予防的な指導援助に必要とされる各要点をふまえ,その順序に従うことが必要である。


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