研究紀要第81号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第2年次」 -099/135page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

事例を通した教育相談の進め方に関する研究


 ―予防的な指導援助―
(第2年次)


要     旨
 この研究のねらいは,教育相談において,より的確で効果的な「予防的な指導援助のあり方」を確立することである。
 そのために,第1年次研究(昭和63年度)においては,予防的な指導援助の定義づけを行い,これに基づいて,調査と事例から予防的な指導援助のために必要な12の要点とその基本的対応(内容省略)を明らかにした。
1 指導援助者の姿勢
2 子供についての理解
3 問題行動についての理解
4 問題点の気づき
5 ラポールの形成
6 資料収集,予測診断,予防仮説
7 本人への予防援助
8 家族への予防援助
9 学級全体への予防援助
10 予防体制
11 フィードバック
12 予防援助の終了
 第2年次研究の本年度においては,問題行動への予防的な指導援助のための「12の要点と基本的対応」の有効性を確認することである。
 そのために,12の要点と基本的対応を「手引」として具体化した。また,調査・検査の望ましい活用のあり方を提示した。そして,これらを活用して予防的な指導援助の実践を試みた。
 この研究から,次のことが明らかになった。
1 予防的な指導援助の12の要点と基本的対応は,問題行動の予防に有効であることが確認された。
2 手引は予防的な指導援助に十分活用できた。また,提示した調査・検査の望ましい、活用のあり方は,予防的な指導援助を必要とする児童生徒の把握と,指導援助の効果を確かめるのに役立つものであった。
3 一人の児童生徒への予防的な指導援助が,他の児童生徒への問題行動を起こさないための意識づけにもなった。


1 解   題

 本研究は,問題行動を起こすと予測された児童生徒に対し,より的確で,効果的な教育相談の進め方の確立を目指して行われた2か年にわたる継続研究である。
 教育現場から,問題行動が発生すると,その指導援助には大変な時間と労力を要するという切実な声が多くの教師から寄せられていた。問題行動が発生するまでには相当の潜在期間がある。顕在化した時点での問題行動は,多くの要因が複雑に関係していることが多いので,改善,解決するには困難をきたすことがある。
 問題行動にまで至らせないためには,問題行動につながる素因や誘因を改善,解決または除去する予防的な指導援助をすることである。
 指導援助を進めるにあたって,早期の問題点の

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。