要 旨
この研究のねらいは,教育相談において,より的確で効果的な「予防的な指導援助のあり方」を確立することである。
そのために,第1年次研究(昭和63年度)においては,予防的な指導援助の定義づけを行い,これに基づいて,調査と事例から予防的な指導援助のために必要な12の要点とその基本的対応(内容省略)を明らかにした。
1 指導援助者の姿勢
2 子供についての理解
3 問題行動についての理解
4 問題点の気づき
5 ラポールの形成
6 資料収集,予測診断,予防仮説
7 本人への予防援助
8 家族への予防援助
9 学級全体への予防援助
10 予防体制
11 フィードバック
12 予防援助の終了
第2年次研究の本年度においては,問題行動への予防的な指導援助のための「12の要点と基本的対応」の有効性を確認することである。
そのために,12の要点と基本的対応を「手引」として具体化した。また,調査・検査の望ましい活用のあり方を提示した。そして,これらを活用して予防的な指導援助の実践を試みた。
この研究から,次のことが明らかになった。
1 予防的な指導援助の12の要点と基本的対応は,問題行動の予防に有効であることが確認された。
2 手引は予防的な指導援助に十分活用できた。また,提示した調査・検査の望ましい、活用のあり方は,予防的な指導援助を必要とする児童生徒の把握と,指導援助の効果を確かめるのに役立つものであった。
3 一人の児童生徒への予防的な指導援助が,他の児童生徒への問題行動を起こさないための意識づけにもなった。 |