研究紀要第81号 「事例を通した教育相談の進め方に関する研究 第2年次」 -100/135page

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気づきとその対応が大切であるということは十分に理解されている。しかし,その進め方等については,まだ明確にされていない。
 この指導援助は,児童生徒の健全な人間形成のための教育活動でもある。実践を通して,予防的な指導援助のあり方を追究していくことは,教師の資質向上のためにも重要であると考えた。

○ 第1年次には「予防的な指導援助」を次のようにとらえた。
 「予防的な指導援助」とは,問題行動を起こすことが予測されると診断された児童生徒,または,現在の行為や行動が問題行動に向かって増幅されつつあると診断された児童生徒に対して,問題行動につながる素因や誘因を改善,解決または除去することである。
 また,全ての児童生徒に対して問題行動を起こさないための意識づけを図り,問題行動の発生を予防する指導援助である。

 これに基づいて,調査と事例から予防的な指導援助に必要な12の要点と,さらに具体的にした基本的対応(内容省略)を明らかにした。
 1 指導援助者の姿勢
 2 子供についての理解
 3 問題行動についての理解
 4 問題点の気づき
 5 ラポールの形成
 6 資料収集,予測診断,予防仮説
 7 本人への予防援助
 8 家族への予防援助
 9 学級全体への予防援助
 10 予防体制
 11 フィードバック
 12 予防援助の終了

 そして,これらの要点と基本的対応が,問題行動発生の予防になることを構造的に説明した。

○ 第2年次研究の本年度は,第1年次研究をふまえてねらいを次のようにした。

 第1年次研究において集約した12の要点と基本的対応が,「予防的な指導援助」に有効であることを実践を通して確認すること。

 このねらいに基づいて次のように研究を進める。
(1)12の要点の基本的対応を分析し,その構成要素としての「具体的対応」を集約する。さらに,実践に生かすための「対応例」を例示する。
  ○ 教育相談部の日頃の相談活動から
  ○ 研究協力委員の実践活動から
  ○ 過去の研究紀要や生徒指導資料などから
(2)予防的な指導援助を必要とする児童生徒の把握と指導援助の効果を確認するために,調査・検査の望ましい活用のあり方を提示する。
  ○ 問題点と指導援助の効果を把握する手順
  ○ 調査・検査の適切な選択法の提示
  ○ 具体的な活用例
(3)研究のねらいを,予防的な指導援助を通して実践事例で確認する。
  ○ 研究協力校での指導援助の試み
  ○ 手引と調査・検査の十分な活用
  ○ 多様な事例の集約

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