研究紀要第90号 「個を生かす学年・学級経営に関する研究 第3年次」 -001/117pagepage

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T 研究経過の概要

1 主題設定の理由
 「個性重視,個性を生かす」教育は,昭和60年臨教審答申の「個性重視の原則」や平成元年の新学習指導要領における「個性を生かす教育」の中でその重要性が提唱され,学校教育の中で実真美の緒についたところである。

 学校教育において,個性伸長の基盤は学年・学級にあるが,学年・学級経営上の課題は予想以上に多い。この課題を解決していくことが児童生徒一人一人の個性を生かす学年・学級経営につながるものと考え,本主題を設定した。

 2 研究の計画と経過
  <第1年次> 平成2年度
○ 研究構想の樹立
  本研究のよりどころを.全国教育研究所連盟福 島大会確認事項(平成2年)の「個を生かす4つ の視点」に求め.これを手がかりに下記事項を設 定し,「個を生かす学年・学級経営の在り方」の 究明構想を樹立した。

4つの視点
視点1  個の存在を認め,大切にする
視点2 個の特性をとらえ,生かす
視点3 認知的側面と情意的側面の調和ある
活動にする
視点4 個性豊かな生き方のための基礎・基
本を習得させる

○ 実態調査と分析・考察
 県内小・中・高校の教師の「個の重視」に対する意識及び条件整備等の実態調査を実施した。その結果,小・中・高校の70%近い教師が.「個性重視の理念は分かるが,学年・学級経営の中でどうすればいいのか分からない」と答えている。 その追究を次年度の課題とした。

<第2年次> 平成3年度
○ 個を生かす学年・学級経営充実籠の事例収集・開発
 第1年次の課題解決のため,個を生かす学年・学級経営を進めるための具体的な事例や活動事例を4つの視点から収集・開発し.アイディア集としてまとめた。このアイディア集をもとに研究協力校での実践の結果,4つの視点から学年・学級経営をすることの有効性が明らかになった。

 しかし,多くの教師は一人一人のよさを見いだすのに苦労し,また,よさを伸長する方法が分からないという現状にあり,具体的な支援の方法と使いやすいアイディア集の作成が課題として残された。

<第3年次> 平成4年度
 第2年次の課題を受けて,次の内容を実践研究することにした。
○ よさを見いだす手だての工夫
○ よさを生かし,伸長する支援の在り方の究明
○ 個を生かす学年・学級経営アイディア集1日 編の作成

U 研究を支える基本的な考え方

 本研究の中で使用する用語の意味や私達が願う学年・学級経営の姿を次のように考え,研究を進めてきた。

1 個性を生かす

 (1) 個性とは
 個性は,個人の持っいろいろな能力,適性,性格,感じ方,考え方などを通して現れるが,その一つ一つを指すのではなく,その子なりの全体的特徴であり,部分部分をとらえてその子の個性としてはいけない。

 さらに個性は.経験・体験を重ねることによって形を変え,学習によって育てられるものでもある。それゆえ,児童生徒の個性把握は,単にある特性が見つかったという完了的なものではなく,生成・発展するものとしてとらえることが極めて大切なことである。

 また,個性にはプラスの側面とマイナスの側面があるが,マイナスと見られていた側面もプラス


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