研究紀要第90号 「個を生かす学年・学級経営に関する研究 第3年次」 -002/117page

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の観点から見直せば,「よさ」になる。例えば,「情緒不安定」は「興味・関心が強い,変化への対応がよい」というように,プラスに見ることもできる。

 (2) 個性を生かすとは
 「個性を生かす」ことは.教育の理念,目的である。すなわち,一人一人の児童生徒をかけがえのない存在として認め,プラスの特性であるよさを見いだし,育て,伸ばす支援をする。そして,他人の個性を認め,自己のよさを自覚し,発揮しながら生活・活動できるようにすることである。

2 個を生かす

 (1) 個とは
 個とは,ただ単に「一人一人」を指すのでなく「個性を有するかけがえのない存在としての一人一人」 ̄を意味している。

 (2) 個を生かすとは
 「個を生かす」ことは,個性を生かす教育の方法としてとらえている。すなわち,「ある特定の児童生徒を生かす」ことではなく,集団の中で存在を認め,「それぞれの児童生徒をそれぞれに生かす」ことである。

 (3) 個を生かす視点
 「個を生かす」視点として,前述の4視点を設定した。以下,各視点の概要を述べる。
 1) 視点1「個の存在を認め,大切にする」とはまず,一人一人を「かけがえのない存在として尊重」することである。それは集団活動の中で個人の能力・適性等が生かされていくようにすることであり,他人に認められないような独善的な目標や行動までも認めるというものではない。

 児童生徒の側から換言するなら,他者をかけがえのない存在として理解・受容すること,そして自分のあるがままを受け入れ,自分の能力・適性等を知り,自己の生き方を確立することである。

 2) 視点2「個の特性を生かす」とは,一人一人の個性すなわち,持ち味を伸長することである。 このときの「伸長する個性」の内容は,主として「能力的側面」と考えている。

 また,「個性一持ち味を各種場面で発揮させる」ことも「個の特性を生かす」ことである。自分の能力・適性や興味・関心等を授業や種々の活動の中で発揮することは,自分が活躍する場を見いだし,自分に自信を持ち,生き生きとした生活へとつながる。

 3) 視点3 「認知的側面と情意的側面の調手山とは,今までややもすると,認知面に偏りすぎていたことへの反省である。具体的場面で,「個の存在を大切にする」にしても,「個の特性を生かす」にせよ,認知的側面と情意的側面の両者からとらえることが必要になる。

 4) 視点4 「個性豊かな生き方のための基礎・基本を習得させる」とは,生涯にわたって自己のよさを生かし,育てながら豊かに生きていくための力や考え方等を体得させることである。

3 個を生かす学年・学級経営

 個を生かす学年・学級経営を次のように定義する。

 「児童生徒一人一人が学年・学級集穎の中で所属感や存在感を持ち,それぞれのよさ(個性)を発揮して諸活動に取り組み,その中で友達のよさを認め,さらに自己のよさを仲良していくことができる学年・学級経営」

III 本年度研究のねらい

 昨年度収集・開発した「個を生かす学年・学級経営アイディア集」をより実態にあった実践的なレベルでとらえ直すため,本年度研究のねらいを次のように設定した。

 児童生徒一人一人のよさを見いだし,伸長し自分に自信を持たせる学年・学級経営をするためには,どのような支援をすればよいのか,研究協力校の実践を通して明らかにする。

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