研究紀要第95号 「児童生徒の創造性を高めるための教材開発」 -035/162page

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I 研究の概要

  科学技術の発展等による急激な社会変化に伴う児童生徒の教育の在り方を考えるとき、学校教育では、児童生徒一人一人が主体性をもって体験できる環境を設け、個性や独創性を育むことが大切である。そこで、体験的な活動を重視した教材による授業実践を行えぱ「自ら考え」、「創意工夫を加え」、「さらに発展させる」といった創造的な能力・態度が育成できるのではないかと考えた。このことを踏まえ、科学技術教育部では平成4年度から2年計画で、「児童生徒の創造性を高めるための教材開発一体験的な活動を重視して一」を主題とした研究に取り組んだ。

1 研究のねらい

 この研究は、学習指導要領の小学校理科と中学校技術・家庭科における新出、移行及び取り扱いが変更された指導内容について児童生徒の創造性を高めるため、体験的な活動を重視した教材を開発し、その普及を図ることをねらいとした。

2研究の構想

(1)創造性のとらえ方

 創造性を「社会の急激な変化に対応できる自己の形成を目指し、自ら新しい価値を生み出す能力」ととらえ、次のような能力・態度を育成することで創造性が高められると考えた。

○関心・意欲・・・・知的好奇心、向上心
○感性・・・・問題点の認識、解決策への直感
○思考力・・・・柔軟性、論理性、想像力
○技能・・・・再構成力、実践力、表現力
○態度・…自発性、自主性、独自性、持続性

 研究を進めるに当たっては、指導内容に即し、体験的な活動を重視して、上記の能力・態度6いくつかを高めることを意図した教材を開発した。

(2)体験的な活動のとらえ方

 体験的な活動を「児童生徒一人一人が自らの五感を使って対象に直接はたらきかけ、自ら思考し、判断し、表現することによって問題解決を図る活動」としてとらえた。

 体験的な活動の内容として、観察、実験、実習、製作、調査等を取りあげたが、さらに、直接体験が困難な場合には、モデルなどによる観察・実験、シミュレーション等も含めた。

3 研究の経過

(1)第1年次

 第1年次は各学校の実態や学習指導要領に新出した内容の教材に関した要望等をアンケート調査し、その結果を十分配慮した上で体験的な活動を通して創造性を高めるための教材を開発した。

 1.小学校理科

 小学校理科では県内96校に対して指導の難しい単元や教材開発の要望について調査した。その結果、指導の難しい単元としてA区分では「発生と成長」に関する内容が多く、その性質上ビデオ教材やモデル教材の希望が多かった。C区分では「地域の目然の教材化」の困難さが多く指摘され、これに関連して観察適地に関する資料の希望が多かった。これらの調査結果を基に、本研究の趣旨に沿うものについて小学校理科A,B,Cの各区分ごとに36ぺ一ジの表のような教材を開発した。

 2.中学校技術・家庭科

 技術・家庭科では新設領域「家庭生活」において研究を進めることにし、中学1年生250名には家庭生活の実態について、また県内30校の担当教員には新設領域に対する意識等について調査を行った・その結果・家庭生活における生徒の手伝いの実態に男女差が見られた。教員側からは取り入れたい体験的な活動として、家庭生活に関する実態調査や衣服の手入れに関する実習、弁当づくり等多々あげられた。また、指導するに当たっての問題点としては、35時間という限られた時間内でどの程度それらの活動を取り上げられるか、男女共学での教材(例えば小物の製作)をどう選定するかなどがあげられた。

 これらのことから、生徒の生活体験や興味・関心、教員が求めている教材などを考慮し36ぺ一ジの表のような教材を開発した。


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