研究紀要第97号 「福島県における「学力向上」に関する考察」 -002/156page
え方から言えば,一般に知識・理解偏重の作問が多く,その結果をもって生徒の学力の全てとすることは,適切とは言えないであろう。
しかし,別な観点から言えば,各種テストの結果にも,基礎学力にかかわる本県の生徒の実態は明確に反映されているものと見ることもできる。ことに,選抜試験にかかわるセンター試験などの結果は,生徒一人一人の進路実現の問題とからめて,容易に無視できない要素をはらむものと言えるのである。
本論においては,学力向上調査研究プロジェクトとして取り組んだ内容の中から,センター試験結果分析と本県の中学生の学習に対する意識と行動を扱い,本県における「学力向上」について考察を進めていくものとする。
まず,「センター試験結果に見る本県の高校生の学力の状況」を,統計的分析などにより確認し,文系・理系や男女別などの成績の特徴を把握したい。これは,本県の「学力向上」の問題を考える上で,前提として押さえておかなければならない内容である。
次に,現状打開のための基礎的作業として,中学校段階での学習の問題点を探るために実施した,「福島県の中学生の学習に対する意識と行動」について分析と考察を加えたい。
これらの考察があって初めて,学力向上を目指す学習指導の在り方に関する研究も真に有効なものになりうるものと考えられる。
2 研究計画
研究計画は,次の3点を中心に進めた。ただし,本論において扱うのは,1),2)についてである。
(1) 研究内容
1) センター試験を中心に各種テスト結果に表れた本県の高校生の学力についての分析
2) 福島県の中学生の学習に対する意識と行動についてのアンケート調査と分析−中学校における実態調査と問題点の明確化−
3) 中学校における学習指導の工夫と検証授業−国語,数学,英語における学力の向上を図る授業の在り方−
(2) 年間計画案
月 各種テスト結果の分析 中学生学習
アンケート調査学習指導
調査・検証4 資料収集 先行アンケート調査研究 5 資料分析・統計調査 アンケート案作成 6 「中間報告書 I 」作成配布 アンケート案完成 7 資料分析 アンケート実施・回収 8 「中間報告書 II 」作成 処理プログラム準備 9 「中間報告書 II 」配布 アンケート処理 教師対象調査案作成 10 アンケート処理・分析 調査依頼・回収 11 アンケート分析 検証授業
(北信中)12 「分析報告書」作成 検証授業
(北信中)1 「センター試験」資料収集
(平成7年)「分析報告書」作成 授業報告書作成 2 「センター試験分析」作成 センター「紀要」作成 3 「分析報告書」発行 備考
中学生対象のアンケートの読み取り・分析を生かしながら,並行して,教師対象の学習指導の工夫に関する調査を行う。(3) 研究協力校・協力員