研究紀要第97号 「福島県における「学力向上」に関する考察」 -020/156page
ない,という単純明快な事実を,もう一度かみしめる必要があるように思われる。
[要約]
1) センター試験に表れた本県の高校生の学力は,英語,数学,5教科総合において,全国で下位レベルにある。
2) 本県の中学生(調査対象県北地区)は,授業や,予習・復習などの家庭学習において,自主的な学習活動は不十分であることがうかがわれる。
3) 国語,数学においては,小学校時代からの学習への関心・意欲や到達度を引きずっているが特に数学(算数)でその傾向が強い。
4) 国語,数学,英語の3教科に共通して,中学1年での学習が,教科の好き嫌いの分節点になっており,その後,両極化が進む傾向が見られる。
5) 統計調査の一端に,1年生では新しい学校,教科に対する意気込みが感じられるが,2年生になると,無気力ややる気のなさが表れているように感じられる。
6) 「楽しい」「おもしろい」授業に対する生徒の期待は高く,魅力的で「分かりやすい」授業への願いは強い。
2 今後の課題
今後の研究課題として,次のようなことが考えられる。
1) センター試験など各種テストの結果に表れた本県の高校生の学力の実態については,継続的に分析し,評価する。
2) 調査の対象を,中学生から小学生まで広げ,義務教育9年間のタイムスパンで,発達と学力の問題を調査する。
3) 本センターの「教科内容診断テスト」,または「学力到達度調査事業」との関連において,本県の児童生徒の学力を総合的に評価する。
学力向上は,一朝一夕に解決することのできない息の長い課題である。継続的に研究をすすめていくなかで,先輩諸先生方には忌揮のないご批判・ご指導を,お願いするものである。
最後に,今回の調査に,ご協力・ご支援をいただきました福島市立福島第三中学校,同北信中学校,伊達町立伊達中学校,梁川町立梁川中学校の校長先生をはじめとする関係の諸先生方に,心より御礼申し上げます。
学カ向上調査研究プロジェクト委員会
研究企画委員会
委員長 赤塚 幹典
副委員長 佐藤 和夫
委 員 近野 元洋 佐治 和則 原田伊佐雄
水谷 由克 辺見 広一 赤塚 公生
遠藤 光
調査研究部会
部会長 辺見 広一
副部会長 赤塚 公生
委 員 関本 良 大室 幹男 阪路 裕
春日 芳則 片寄 信 土井昭一郎
佐藤 和紀 鈴木 昭夫 高野 成一
遠藤 光 渡辺 裕 鈴木 昭
千葉眞佐春 原 隆 小原 吉雄
山邊 彰一 佐藤 恵一 吉田美智生
菅野 哲哉 畑中 豊
事務局(学習指導部)
事務局長 辺見 広一
副事務局長 ・赤塚 公生
委 員 遠藤 光 渡辺 裕
鈴木 昭 ・千葉眞佐春
・原 隆 ・小原 吉雄
山邊 彰一 佐藤 恵一
吉田美智生 ・菅野 哲哉
・畑中 豊
(・印 研究班)