研究紀要第98号 「環境教育講座の在り方を求めて」 -021/156page
環境教育講座の在り方を求めて
研究の概要
本県では環境教育講座を平成5年度に開設した。講座の運営に当たっては,環境教育の趣旨を踏まえて,特定の教科に偏らないように,いろいろな教科の担当者による研究体制を確立し,共通理解を図りながら,効果的な講座の在り方について研究を進め,それに基づいて講座を実施した。 講座の目的を「環境教育に関する意識の高揚」,「環境教育実践にかかわる技能の習得」とし,テーマを設けて内容を検討した。また,環境教育においては校種間の連携を図ることが必要であるとの判断から,研修対象者を小・中・高の教員とし,内容によって合同研修,校種別研修を行った。
講座の内容はできるだけいろいろな視点から取り上げたものにし,野外研修,実験・実習などの体験的な内容も取り入れた。研修者は自分の専門教科に関係なくそれらについて研修した。さらに今年度は理科と家庭科が協力して開発した教材「エコ・クッキングを体験してみよう」を取り入れ,この教材については講座終了後,小・中・高のそれぞれの学校で試行授業を行い,その有効性を確かめた。
講座終了後のアンケート調査によれば,研修者の大部分が「環境教育の理解に役立った」,「学校に帰ってから環境教育の推進役として活動したい」と答え,講座が大変有意義であったことが分かった。また試行授業を行った「エコ・クッキング」についても,児童生徒の生活環境に対する意識が高揚し,環境教育の教材として有効であることが分かった。
I はじめに
平成元年度の小・中・高等学校学習指導要領の改訂では,多くの教科,道徳,特別活動等で,環境教育にかかわる内容が重視された。また,各教科等だけでなく総合的な教育として学校の教育活動全体を通じて行うことが位置付けられた。
そこで,学習指導要領のねらいである学校における環境教育の推進と充実を図るためには,まず教師の共通理解と問題意識を高めることが急務であると考え,福島県教育センターでは平成5年度に環境教育講座を開設した。
2年目に当たる今年度は,昨年度の内容をさらに充実・発展させるべく,標記の研究主題を設定した。
II 研究のねらい
昨年度の環境教育講座の開設にあたっては,所内に研究体制を確立して,講座のねらい,研修形態,運営方法そして教材などについて検討・協議を重ねた。その結果は研修者におおむね好評であった。
しかし,その中に問題点や改善点もいくつか見られ,平成6年度の開講に向けて課題があることが分かった。そこで,問題点や改善点を浮きぼりにしてその対策を検討して改善を図れば,今年度の環境教育講座がより充実したものになるものと考え,本研究のねらいを次のようにした。
「前年度の実践結果をもとに,環境教育の理念の理解と環境教育に関する意識の高揚を図ることができ,さらに環境教育の実践にかかわる技能を習得させることができるような講座の在り方を求める。」
さらに,環境教育ではその趣旨から教科等間の連携を図ることが大切であると言われているが,複数の教科が協力して有効な環境教育の教材を開発し,学校に提供できるようにすることも,教材の提供という教育センターの講座の目的の一つに添うものと考え,環境教育講座の在り方を求める研究の内容の一部に位置づけた。