研究紀要第98号 「環境教育講座の在り方を求めて」 -022/156page

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III 研究の内容

1 平成5年度の環境教育講座について

(1) 環境教育についての基本的な考えと姿勢

 環境教育を「環境や環境問題に関心と知識を持ち,人間活動と環境とのかかわりについての総合的な理解と認識を持つこと,さらにそれを発展させてよりよい環境の創造活動に主体的に参加できる態度を育成すること」と考えた。このような認識に立ち,講座の目標を立てた。そして,目標を達成するためには身近な環境を対象とした素材が有効と考えて「身近な環境に関心を持とう」というテーマを設定し,そのテーマのもとに講座の内容を検討した。

 また,環境教育は総合的な学習であり,教師が共通理解を図り,教科等間で連携を深めながら学校の教育活動全体を通して行われるべき体系化された教育ととらえ,講座では,特定の教科に偏った環境教育ではなく,生活科,理科,社会科,保健体育科,技術・家庭科,道徳,特別活動などいろいろな視点から取り上げた内容についての研惨にすることとした。

(2) 講座の概要

 講座の基本的な共通認識に基づき,日程,内容,研修形態,運営方法など検討して実施した概要は次の通りである。

1) 日程:9月6日〜9月9日,3泊4日

2) 研修者;33名(小14名、中11名、高8名)

3) 主な研修内容

ア 外部講師3名による講義内容
・ 環境教育の理念について
・ 福島県の自然環境について
・ 学校での実践の状況について

イ 野外研修
 本教育センターから徒歩で移動しながら,騒音の測定や水生生物を指標とした水質の調査などの観察,調査を行った。

ウ 室内研修
 エネルギー問題,地球規模の環境問題のシミュレーション,ごみのリサイクルや廃棄物の再利用などについて研修した。

工 協議
 環境教育の現状と問題点をテーマとして行った。

4) 研修形態

 講義は全員で聴講し,協議は3つの校種ごとに分かれ分科会形式とした。演習・実習は,同じ教材でも校種の発達段階によって指導法が異なることに配慮して,小学校班と中・高校班に分かれて行った。
野外研修は,午前は同じ内容を小学校班と中・高校班に分かれての班別に行い,午後は選択研修として校種共通で行った。

5) 講座の運営

 講座担当者がお互いに協力し合い役割を分担して,講座が効率よく運営できるようにした。また,野外研修の際の事故防止には万全を期した。

(3) 成果

1) 4日間の研修内容が環境教育の理念の理解,具体的な教材についての技能の習得,学校での取り組みなどに役立つものであり,初回の講座としてはある程度の成果を上げることができた。

2) 学校教育全体における環境教育の位置付けと取り組み,すべての教科等における環境教育的視点での授業実践の必要性などについて意識を高めることができた。

3) 小・中・高等学校の先生方を対象にした講座であり,研修などを通して校種間の連携を図ることができた。

4) いろいろな視点や分野から教材を取り上げたので,環境教育への理解を深めることができた。

(4) 課題

1) 研修内容の構成はよいが,個々の内容については検討する必要がある。

2) 午後の野外研修の教材には,器具の数が少ないものがあった。数を増やし研修者全員が使用できるようにする必要がある。

3) 協議は各校種ごとに分かれて行い,その結果を全体会で報告したが,校種間の意見交換の時間を確保できなかった。意見交換の時間を確保する必要がある。


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