研究紀要第101号 「学力診断テスト開発に関する研究」 -001/170page

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学力診断テスト開発に関する研究

学力診断テスト開発研究プロジェクト

I 研究開発の趣旨

(1)学習指導要領改訂にともなう新しい教育観の具現をめざす
 21世紀に生きる児童生徒を育む理念と教育内容をもつ学習指導要領のもと,各小・中学校においては,「自ら考え,創造し,おもいやりの心をもち,たくましく生きる」児童生徒の育成をめざし,多様な教育活動が行われている。
 そうした活動にあって,教師,保護者,地域の人々の寄せる願いや思いの中心は,児章生徒の主体性や個性の伸長にあり,確かな学力の向上にある。
 当教育センターでは,この願いや思いを大切に受けとめ,そうした取り組みが実効あるものとなるような支援をしたいと考えてきた。その方策を見出すために,新しい学習指導要領による新しい学力の考え方と,新しい指導要録に基づく新しい評価のあり方に着目してきた。その結果,次の2事項を当面する課題と考え,その課題解決のための一助として,学力診断テストの開発を考えるに至った。
 1.児童生徒一人一人の学習状況や学力の実態を的確にとらえていく。
 2.個性や能力に応じた学習指導の研究開発を進めていく。

(2)県教育委員会重点施策の支援活動として
 県教育委員会の重点施策である児童生徒の「学力向上」の支援活動として,平成2年度に当教育センターは義務教育課と共同で「教科内容診断テスト」を開発した。このテストは,県内の小・中学校児童生徒の学力の実態把握と各教科指導法の改善を目的として作られ,その活用が図られてきた。
 しかし,このテストは,小学4年,小学6年,中学2年と限られた学年の開発に留まっていた。そのため,小・中学校,市町村教育委貝会から,教育の連続性及び適時指導の面で活用しにくいとの指摘があり,新たな診断テストの開発が待たれていた。
 新開発テストでは,こうした要望に応えるとともに,県内小・中学校の児童生徒の学力の実態把握と新しい学力の考え方に立った学習指導の充実に役立つことを願った。そこで,教育センター内にプロジェクトを発足させ,平成6,7年度の2ヵ年の継続事業として,小学4年から中学3年までにいたる,各学年の国語,社会,算数(数学),理科,英語の5教科,延べ27教科の学力診断テスト研究開発に取り組んできた。

II 新しい学習指導要領に基づいた学力の考え方と研究開発

1 新しい学カについてのコンセプト
 これからの学力を,指導要録の観点が示す「関心・意欲・態度」「思考・判断」「技能・表現」「知識・理解」の4つの構成要素が互いに結びつき,影響し合う関係としてとらえた。特に,「関心・意欲・態度」は,重要な学力の要素であると同時に,図示のように,それ白体が回転しながらプロモーターの役目を持ち,他の3つの要素への誘因・牽引関係を保ちながらスパイラルに高まる構造ととらえた。

学力構造モデル図
学力構造モデル図


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