研究紀要第101号 「学力診断テスト開発に関する研究」 -025/170page

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V 研究成果と今後の課題

1 普及に向けた活用とそれへの期待
 本テストは全県下,管内別に予備調査・本調査の実施を経てより標準化されたものとなるような開発を目指しており,今後も調査結果の収集,分析を継続していかなければならない。今後各学校での活用により,学習指導の一層の改善充実及び学習評価改善を支援すると共に本県児童生徒の学力水準の確認・維持・向上に役立つ評価資料の提供をめざしている。
 具体的な開発の結果は次の4点にまとめられる。
(1) 県内小学校4年生から中学校3年生までの全児童生徒一人一人の学力の診断・評価に利用できる。
(2) 小学校4年生から中学校3年生までの連続した学年で診断テストが整うことによリ,全校レベルでの利用が可能になるばかりでなく,資料の累積による継続した学習指導も可能になる。
(3) 児童生徒一人一人に目を向け,新しい評価の観点から,きめ細かな客観的な診断・評価が可能となり,学習指導の改善及び新しい学力観の趣旨の実現に近付けられる。
(4) テスト実施後の処理を教育センターで行うことにより,本県児童生徒の学力の問題点等を明らかにでき,学習指導の改善の手がかりに供することができる。また,教育センターの研修講座等の資料として活用できる。
 コンピュータ処理により各学校で活用できるデータは次のとおりである。
*A表………各教科観点別得点平均と県の比較
*B表………各学級別,男女別各教科得点平均の比較
*C-1表…個人毎観点別得点状況,偏差値,順位
*C-2表…個人毎領域別得点状況
*D表………各教科小問毎の解答状況
*E表………一人一人の小問毎の解答状況と観点別教科全体の正答率(正,誤の分布)
*個票………個人毎に各教科の到達状況を点数で示すとともに関心,意欲・態度についてのコメントを返し,一人一人の学習への支援ができる。
 各学校ではA表から個票までの各種データを基に各教科での児童生徒一人一人の達成状況に応じて,学習指導の改善に向けての資料として活用できる。
更に活用の手引きを準備したことにより,各教科での指導上のポイントが明確となり結果と併せて教師への支援ができる。
 具体的には,各教科ごとに「活用の手引」の「出題の意図及び配慮事項」とテスト結呆のデータとを照らし合わせて個々の児童生徒の学力の実態や学習状況を検討することにより,自校・自学級の学力状況がより明確になってくるものと考える。更に「活用の手引」では,各教科とも観点別,間題群別に予備調査の結果を基にした全県的なデータ結果からの指導の対策について具体例を挙げながら述べているので,学習指導改善に参考になるものと考える。また,各学校では教師が観点別評価のテストを作成する際にも役立つ資料として活用されるよう願っている。

2 基礎データ収集と問題開発の脳亮研究の必要性
 今後学習指導要領や教科書の改訂などが実施されるにつけても問題の見直しの必要性が考えられる。そこで,学力診断テスト実施校の結果のデータが当センターに蓄積されることから問題開発チームを教科ごとに組織し,これらの基礎データを基に,よリ標準化されたテスト開発に向けて継続研究に努めていかなければならない。

参考文献
千葉県標準学カテストの特質と正しい使い方…千葉県総合教育センター
到達度評価の研究−その方法と技術−図書文化社橋本重治
観点別学習状況の評価基準表 図書文化社 北尾倫彦


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