研究紀要第102号 「福島県の小学生の学習に対する意識と行動」 -055/170page

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IV まとめと今後の課題

1 まとめ


 今回の調査研究は,小学生の学習に対する意識と行動を探り,その実態を把握するとともに,学習指導の改善に役立つ基礎資料を得るために行った。その結果,小学生の学習に対する意識や行動として、次のようなことが明らかになった。
(1)「学習一般」
 1. 図工,体育,家庭などの教科を「好き」,国語,社会,算数などの教科を「嫌い」とする児童が多い。
 2. 質問したいと思っても,なかなか質問できないでいる。下位児ほどその傾向が強い。
 3. 宿題はだいたいしている。宿題の他に勉強している科目では,国語,算数が圧倒的に多い。また,家庭学習時間は65分位が平均である。
 4. 約80%の児童が何らかの「習い事(スポーツ少年団,合唱・合奏を含む)」をしており,「学習塾」には,ほぽ4人に1人が通っている。教科は,一国語,算数,英語がほとんどである。

(2)「国語」,「算数」に共通した部分
 1. 2つの教科とも「好きになった時期」は,「1年」と「3年」が多く,「嫌いになった時期」は「3年」,「4年」が多い。中学年での学習指導の重要性に注目する必要がある。
 2. 児童の80%以上は,授業中,分かるまでがんばろうとしており,学習の成就感も感じている。また,友達の考えが自分の考えに影響を与えていると意識している児童が多い。
 3. 友達や先生に「ほめられた」と感じている児童は40%前後である。また,先生に「ほめられたことがなかった」と答えた児童は,約15〜20%いる。

(3)「国語」
 1.「好き」としている児童は,約66%である。また,「好き」や「嫌い」の理由として共通に「漢字」と「作文」に関することがあげられており,これらの学習内容は児童にとって差がつきやすいものと考えられる。
 2.好きでない(苦手な)学習としては,「作文の学習」が最も多く,言語事項の学習については上・中・下位児の差が顕著である。一方,「物語」や「詩」の学習は「好きでない」とする児童が少ない。
 3.授業中,発表したり,質問したりしない児童は半数を越えており,その理由としては,「自分の考えが間違っているかもしれないから」と答えた割合が比較的に高い。
 4.作文を書くときに,推敲をする児童の割合は高いが,構成を考えて書いているのは半数を少し超える程度である。

(4)「算数」
 1.「好き」としている児童は,約61%である。また,「嫌いになった時期」は「3年」とする割合が最も高く,昨年の「中学生に対する調査」と同様の結果であった。
 2. 各学年毎に,児童が「分かりにくい」と考えている単元が明らかになった。「口を使った数」,「がい数」,「単位あたリの大きさ」などを難しいと感じている児童が多い。
 3.「授業後,分からないところを質問する」児童は5分の1程度,「テストの間違いをやり直す」のは4人に3人程度であり,成績との相関が高い。
 4.「好きな学習形態」は,「OHPやビデオを使った学習」,「グループ学習」などであり,「コンピュータを使った学習」も,経験したことのある児童の中に占める割合は高い。


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