研究紀要第103号 「児童生徒の学校適応への指導援助の在り方に関する研究」 -069/170page

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また、順応の生徒に対しては、次のような働きかけをしながら実践した。
〇 意図的に指名して、その考えやよい点を級友に知らせる場を設定する。
〇 生徒の発表後は、内容の補足やフォローをし、自信をつけさせるようにする。
〇 動きを伴う演習では、そばについて一緒に行動する。
 演習中の順応生徒(D男、E男)への担任のかかわりは、次のようであった。
【ウォーミングアップの場面で】
《授業のはじめに、D男、E男がリラックスして演習に入りやすいようにするために》
 担任が生徒たちの中を巡回し、D男、E男に後ろに倒れた時の感想を聞いたり、肩たたきをし合った。

【例題の実施場面で】
《D男に、自信を持って発表させるために》
担任: 「では一つ例題をやってみます。どの季節が一番好きですか。」
(生徒が用紙に記入する。担任は、生徒一人一人に声をかけながら、D男、E男の用紙をのぞき込む。)
担任: D男君は青(イ)が好きなんだね。
D男: (担任と目を合わせてうなずく。)
担任: なぜ、青(イ)が好きなのか、後でD君にも発表してもらおうかな。
D男: いいですよ。 (E男にも同じように対応。)
担任: 「さあ、アイウエオの選んだ場所に移動して下さい。」
担任: 「では、何人かの人に理由を聞いてみたいと思います。どうしてここを選んだのですか。」
(適応生徒M男に指名後、D男に発表させる。)
D男: さわやかな色で好きなんです。
担任: そうだね。青ってさわやかな色だよね。
(その後、選択肢の異なる生徒にも、発表させる。)

【第4間の場面で】
《発表内容を補足して,自信をつけさせるために》
担任: 「第4問です。どんな人と結婚したいですか。さあ、アイウエオの選んだ場所に移動して下さい。」
担任: 先生は、やさしい人(エ)で待っていますから。
生徒たち: うそー。
担任: D男君は、どう。
D男: 先生は、どうしてやさしい人(エ)なの。
担任: 結婚して長く生活していくなら、優しくてコミュニケーションのスムーズな人が一番だよ。
D男: そうなんですか。
担任: 美人な人(ウ)を選んだのは、3人だけなんだけど、D男君はどうして美人な人(ウ)を選んだの。
D男: 美人は見ているだけで飽きないから。
担任: そうかあー。美人もいいよね。美人な人(ウ)を選んだのは3人だけなんだけど、D男君が、自分の考えでしっかり行動できたことは素晴らしいよ。
M男: 先生、美人は3日で飽きるよ。絶対に、(ア)のほうがいいよ。
担任: M男君はどうして(ア)のほうがいいと思うの。
M男: 美人だとかは、答えが一つだけど、(ア)のかわいいには、顔がかわいい、性格がかわいい、スタイルがかわいいと、三つあると思うんですね。
担任・生徒たち: なるほどねー。
(以下省略)


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