平成8年度 研究紀要 Vol.26 -000-01/175page
ま え が き
今,学校教育には,来るべき21世紀の社会の中でたくましく生きるために「主体的に判断し,多様な問題に柔軟に対応し解決できる能力を身につけた人間の育成」が強く求められています。
こうした中で,本教育センターにおいては,教育研究・研修機関として課せられている役割を踏まえながら,教育研究事業,教育関係職員研修事業,情報教育事業,教育相談事業,教育図書・資料事業等の各事業を通して,時代や社会の要請に応えるべく,各種の教育課題解決に向けてプロジェクト研究や部研究及び個人研究に取り組んで参りました。
「学力診断テスト研究開発プロジェクト」は,平成7年度に「学力到達度調査事業」で実施した教研式・全国標準診断的学力検査(NRT)の調査分析結果を踏まえて,小学校は5年生の国語,算数,中学校は2年生の国語,数学,英語について「学力到達度調査に関わるテスト」を作成し,実施しました。その答案分析により,児童生徒のつまずきの実態をより詳細に把握し,考察を加えるとともにその対応についてまとめたものです。
「学校の活性化を目指す教員研修」は,学校訪問聞き取り調査(県内小学校6校,中学校5校,高等学校1校)を実施し,その現状と課題について把握しました。
「基礎学力向上のための情意面の活性化」は,学力の認知面と情意面のかかわりに着目し,関心・意欲を持続させ,思考活動を活発にする方策を盛り込んだ授業を実践し,その成果についてまとめました。
「教育相談に関する調査研究」は,「児童生徒一人一人と学級の人的環境(級友や担任)の調整」に焦点をあて,研究協力校2校(小・中学校1校,各2学級)の児童生徒の変容を調査しました。
また,個人研究については,所員の研修業務とのかかわりを具体的に深めながら,学習指導の改善や新しい授業観を考慮した教材開発,児童生徒の興味や関心を生かしながら主体的な学習活動が展開できるような教育用自作ソフトウェアの開発,教育相談の推進・定着やシステム活性化の実践的研究などについて,研究協力校と連携を深めた実証的な研究となるよう心がけて進めました。
今後,本紀要が,各学校での校内研修や教育研究を推進するための資料として活用されることを願いたいと思います。
おわりに,本教育センターの調査研究に際し,ご尽力を賜りました研究協力校や研究協力員の皆様,並びに関係諸機関の方々に対しまして,衷心より感謝を申し上げる次第です。
平成9年3月
福島県教育センター所長 水 野 信