研究紀要第105号 「学力向上に関する調査研究」 -014/175page
(2) テスト問題作成の視点
テスト問題については,NRTの結果をもとに,次のような視点から作成した。
1. 中領域で全国比が90以下
中領域における到達状況をみると,全国比が90以下であるものが,中領域の9つの項目のうち5項目(【表1】)あり,特に「1次関数」「図形の相似」が,全国比がそれぞれ81,85と低い。「数量関係」「図形」の大領域のうち,本テストでは、特に「1次関数」「図形の相似」の2つの中領域について,生徒のつまずきの原因をさぐることにした。
【表1】
大領域 中領域 全国比 数量関係 1次関数 81 数の表現方法と適切な使用 86 資料を集め整理し傾向を知ること 88 図 形 図形の相似 85 平行線の性質や三角形の合同など 89 2. 1.の領域で、全国比が80以下の小問
上記1.の2つの中領域について全国比が80以下の小問を抽出したものが右の【表2】である。
これらからよみとれることとして,「1次関数」では,1次関数の表,グラフ,式の相互の関連の理解が十分でなく,そのことが1次関数を事象との関わりにおいて考察することに影響を与えているのではないかと思われること,「図形の相似」では,平行四辺形や相似な図形の性質の理解とその活用が不十分なのではないかと思われること,などがあげられる。
これらのことについて,生徒のつまずきの原因を明らかにする必要があると思われる。
【表2】
項 目 全県通過率(%) 全国比 【1次関数】 1次関数の表と式 31 78 1次関数である事象 4 57 1次関数のグラフと式 27 79 1次関数と連立方程式 34 77 2元1次方程式と関数 19 70 事象と変化の割合 18 72 事象と1次関数の式 14 67 【図形の相似】 平行線と線分の比 31 79 平行四辺形の条件 29 73 長方形の性質 41 79 対角線の垂直な四辺形 14 74 三角形の重心の性質 34 77 (3) 問題の内容と趣旨
大問 問 題 の 内 容 問 題 の 趣 旨 1 数学を学習するのに必要な計算能力 基本的な計算能力を測る問題。特に(3)では,1次関数のグラフの交点の座標を求める際に必要な連立方程式が解けるかどうかを調査する。 2 対応表から1次関数の式を求めること 対応表から1次関数の式を求める問題。1次関数の式の形を理解しているか,1次関数では「変化の割合=傾き」となることを理解しているかどうかを調査する。 3 1次関数の特徴の理解 1次関数の式の特徴,対応表に表れる特徴を理解しているかどうかを調査する。