研究紀要第111号 「福島県の児童生徒の学力の到達状況に関する研究」 -036/166page
(4) 授業改善に向けて
今回の調査では,以下の4つの中領域が全国平均を下回っていることが明らかになった。
修飾・被修飾の理解や主述の理解
(90) (大領域「言語事項I」)語の構成と成り立ち
(98) (大領域「言語事項I」)書いた文の見直しと叙述の工夫
(99) (大領域「表現」)漢字の読み書き
(99) (大領域「言語事項II」)これらの領域は,自分の思いや願いを自分の言葉で考えたり表現したりしようとするときに使われる能力に,深く関わっている。文の構成を考えたり,漢字を活用したりできなければ,相手に自分の考えや気持ちを声や文字を通して正確に伝えることがむずかしくなるからである。
「文の構成を考え漢字を活用する力をつけるために,従来は,取り立て指導や練習学習的な指導に重点が置かれ,児童の思いや願いを十分に生かすという観点が不足していた。今後は,児童自身が分かりやすい文章にしたいという願いを持って推敵したり,漢字で表現することのよさやおもしろさを知って文章表現に役立てたりする学習を大切にすることが必要である。これらの学習につなげるためには,日ごろの物語文や説明文の学習で,主語と述語が照応することによって文の意味が正確になることを自覚させたり,新出漢字の読み方や意味を考える学習を授業の展開の中に位置付けたりするきめ細かな対応が重要である。
そこで,ここでは,「修飾・被修飾の理解や主述の理解」の中領域から,全国比が低い小問を例にとり,考察し その領域に関する指導の要点について述べる。
1)小問例
(平成7年度全国比64,平成9年度全国比64)
2)考察
主語,述語は,最3学年までに重点的に学習する内容である。単に分の中における主語や述語を理解させるだけでなく,主語と述語の関係が照応する事によって,分の意味が性格になることを押さえさせる必要がある。
[資料1]の小問1の回答率を見ると,半数近くの児童が「主語」の概念を理解していないことが分かる。また,小問2のように,述語の直前にある言葉を主語として選ぶ傾向があることが分かった。
[資料1]
(「平成8年度調査」より)