研究紀要第111号 「福島県の児童生徒の学力の到達状況に関する研究」 -037/166page
小問 回答分類 回答率(%) 1 ア さちこは(正答) 50.9 イ ハンカチを 48.5 その他 0.6 2 ウ わたしは(正答) 40.3 オ にがしてやろうと 33.9 エ 小鳥を 13.5 イ しばらくして 9.4 ア それから 2.3 その他 0.6 このことから,主語,述語の概念を正確にとらえさせた上で,主語と述語の関係が文の基本であることを児童に明確に意識させる指導を工夫する必要がある。
3)指導の要点
ア 文章の述語に着目させよう
主語と述語の関係を文の構成の基本的なものとして意識させる指 導は,さまざまな教材 で取り上げることがで きる。主語と述語の関 係をとらえるカは,物語文においては登場人物の行動を正確に読み 取るカとなる。
例えば,次の文章は,「大造じいさんとガン」の中で,残雪とハヤブサとの戦いを表現したものの―部である。
いきなり,敵にぶつかっていきました。そして,あの大きな羽で力いっぱい相手になぐりつけなした。 「大造じいさんとガン」
(光村図書 五下)
速い場面展開を意図したためか,主語が省略されている。このような場合は,「だれが,ぶっかっていったのですか。」, 「だれが,なぐりつけたのですか。」と発問することで,文の意味が明確になり,残雪の行動を順を追ってとらえることができる。主人公の行動を確認する場合に,主語の省略された文にっいては,述語をもとに主語を確かめる発問を工夫すると,文の中における主語と述語の関係を意識させることができる。
イ 主述関係と修飾・被修飾関係を明確に区別さ せよう
修飾語は,第3学年で学習する。ここで最も基本的なことは,事柄を表す言葉(体言)とそれを修飾する(連体的な)言葉との関係,動作や存在や様子などを示す言葉(用言)とそれらを修飾する(連用的な)言葉との関係をはっきり意識させることである。しかし連用的な修飾の関係は,述語を修飾することもあり,主述の関係と混同しやすいと考えられる。そこで,第5学年で学習する「文の中での係り方」の指導の中で,主述関係と修飾・被修飾関係を以下のような文例を用いて同時に学習させることなどにより,それぞれの関係の違いを明確に意識させる工夫が必要である。
赤い 大きな 花が いっぺんに たくさん さきました。