研究紀要第111号 「福島県の児童生徒の学力の到達状況に関する研究」 -041/166page

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3)指導の要点

ア 児童に提示する問題の内容を吟味しよう

児童が解決する必要性を感じ,「単位量当たりの数量」の理解を深めるために,下の問題のように児童にとって関わりの深い場面からの問題を提示し,輿昧・関心を高めたい。さらに,異種の2量を比較する際は,―方の量を同じにして,もう―方の量で比較するという考え方を児童が発見できるような問題が望ましい。

問題の数値は,計算のミスによって本来の目的を見失わないように簡単にする配慮もしたい。簡単な数値であれば,最小公倍数を見つけて比較をしようとする児童にとっても,抵抗が少なくなると考えられる。

[問題]

下の表は,宿泊活動の部屋割りです。
こんでいる部屋はどこでしょう。

  A室 B室 C室
たたみの数 10枚 10枚 8枚
子どもの数 6人 5人 5人

イ 問題提示の仕方をエ夫しよう

A室とB室だけを見せ,「どちらがこんでいるか』を考えさせる。画室とも同じ面積で,A室の方が人数が多いことから,A室の方がこんでいることを確かめさせる。

次に,B室とC室を見せ,同じように考えさせる。同じ人数であるが,C室の方が面積が小さいため,C室の方がこんでいることを確かめさせる。このように提示することで,「こんでいる」という意味を把握させることができ,―方の量をそろえるアイディアを強調することができる。さらに,「A室とC室はどちらがこんでいるのだろう。」という,児童からの新たな問が生まれやすい。

  A室 B室 A室とB室の
どちらがこんで
いますか。
(面積が同じ)
たたみの数 10枚 10枚
子どもの数 6人 5人

  B室 C室 A室とB室の
どちらがこんで
いますか。
(人数が同じ)
たたみの数 10枚 8枚
子どもの数 5人 5人

A室とC室は,どちらがこんでいるのかな。
(児童からの新たな問の発生)

ウ 児童がつまずく言葉に配慮した指導をしよう 教科書では「単位量当たりの数量」の導入問題として,公園で遊ぶ児童のこみぐあいを素材にし,面積と人数の異種の2量の割合を量として比較する場合が多い。この際の指導の留意点は,面積が同じなら人数が多いほうがこんでいるということである。特に,「こんでいる」の言葉の意味を理解させたい。さらに,「lm 2 当たり」,「1人当たり」の意味をしっかり把握させた上で,基準にする量を単位量にすれば,条件を簡単にそろえることができ,便利であることに気づかせることが必要である。


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