平成9年度 研究紀要 Vol.27 個人研究 -121/166page
教師の授業スキルの向上を図る
授業研究プログラムの開発に関する研究
−フリーカード法の活用を通してー
長期研究員 高 橋 弘 悦
研究の趣旨
教師の資質や指導力,実践力は校内研修で磨かれ,高められることが多い。その校内研修の中心となっているのが授業研究会であり,指導力の向上を図るかけがえのない機会となっている。しかし,実際の授業研究会は,方法等の問題があって教師の指導カの向上にはなかなか結び付いていかないのが現状のようである。
本研究では,「指導カの向上」が授業研究の大きなねらいであるととらえた上で,その向上を図る方法の―つとしてフリーカード法を取り上げ,その有効性と校内授業研究会での活用の可能性を探りたいと考えた。そのために,実際にフリーカード法を活用した授業分析を行い,フリーカード法経験者と未経験者を比較の対象として,次のような調査を実施した。
1)カードの記述枚数と教職経験年数との相関関係
2)フリーカード経験者と未経験者のカードの記述内容の比較
3)アンケートによるフリーカード法のメリット,デメリット調査その結果,フリーカード法を活用による授業研究会は,教師の授業スキルの向上に有効に作用する可能があること,研究協議会の活性化につながるという成果が得られた。また,この研究からえられた知見を踏まえて,フリーカード法を校内授業研究会に組み入れていくための基本的手順と目的別バリエーションをまとめることができた。
I 研究の趣旨
教育改革が進む現在,改めて教師の資質が間われるとともに,深い専門性に裏付けられた指導カ,実践カの向上が求められている。これらは,教師なら誰もが関わる校内研修で磨かれ,高められることが多い。その校内研修の中心となっているのが授業研究会であり,指導力の同上を図るかけがえのない機会となっている。しかし,実際の授業研究会は,ねらいがはっきりしない,方法や運営がマンネリ化している,発言者が限られているなどの問題があって,教師の指導カの向上にはなかなか結び付いていかないのが現状のようである*l。
本研究では,「指導カの同上」が授業研究の大きなねらいであるととらえた上で,その向上を図る方方のつとして,大阪大学の水越研究室で活用しているフリーカード法を取り上げ,その有効性を探ることとする。
II 研究のねらい
フリーカード法の有効性を探り,フリーカード法を活用した授業研究プログラムを開発する。 1フリーカード法の有効活用性を探る。
2フリーカード法のメリット,デメリットを踏まえた活用の仕方を提案する。