研究紀要第116号 「学校の活性化を目指す教員研修に関する研究 第3年次」 -027/117page

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VI 研究のまとめ

本研究は,学校の活性化を目指すために,教員の深い専門性に裏付けられた実践的指導力を培う教員研修の在り方を探ろうとするものであった。

そのためには,まず,各学校での教員研修の取り組みとその課題及び工夫についての実態を把握し,教員研修に関する問題点を洗い出し,課題を明確にすることが必要であると考え,実態調査,意識調査を行なった。

それは,校種・経験年数の違いによる教員研修の実態を明らかにし,教員研修に関する共通な課題を見つけるものであった。そして,その課題解決を通して,学校を活性化するための「教員研修の望ましい姿」を求めるものであった。

二年間にわたる研究から,学校を活性化するためには,「校内研修の充実」が重要であることが分かった。

本年度は,校内研修の充実に焦点を絞り,「学校の活性化を目指す教員の望ましい姿」を提言するかたちで研究をまとめた。その成果は,次のようにまとめられる。

1 学校の活性化と校内研修の必要性

○ 学校の活性化とは,教育目標の具現に向って学校の機能がより活発に働くこと

○ 学校を活性化するために校内研修の充実を図るには,自校の校内研修の問題や目指す方向を明確にすること

2 校内研修充実に必要なもの

○ 教師一人一人の日常の授業と関わりのあるものにすること

○ インフォーマルな話し合いができる場を保障すること

○ 継続性と広がりを大切にし,結論を急がないこと

3 管理職の関わり方

○ 校長としては,「学校教育のビジョンを樹立すること」「ミドルリーダーを育てること」が大切である。

○ 教頭としては,「校内の条件整備」「教員個人の教育力の向上に努めること」が大切である。

4 望ましい校内研修のあり方

○ 初任者研修における教科指導力の向上には,「授業参観研修」と「研究授業研修」の視点を明確にして取り組むことが大切である。

○ 高等学校における学校の活性化を目指す初任者研修では,「校内における研修」の充実が大切である。

○ 道徳の授業実践意欲を高めるためには,「道徳教育通信」の効果的な活用が有効である。

○ 事後研究会の活性化を図るには,フリーカード法を取り入れることが有効である。

最後に,魅力ある校内研修にするためには何が大切なのかを述べて,研究のまとめと今後の課題としたい。

1 どんな時,研修に魅力を感じるか

研修に魅力を感じるのは,研修の時間が確保されよい指導者,よい教師集団に恵まれるなどの条件の中で,重要で新鮮な情報を得たり,理論と実践が結びつく考え方に触れたりしたときである。

2 魅力ある研修とはどんなものか

魅力ある研修とは,教師個々に応じたものであることが望ましい姿である。

3 教師はどんな時研修を求めるのか

教師は,今の指導に何らかの変化(自分の指導力・力量を知りたい。指導力を高めるための理論を積み上げたい。具体的な指導実践例に触れたい。)を求めたいと願っているとき,研修をしたいという気持ちになる。

4 どんな時研修の魅力を実感できるか

教師が研修の魅力を実感できるのは,研修で得たものが,授業を通して子どもの確かな手応えとなって返ってきたときと,今まで知らないでいたり,気付かないでいたりしたことを認識でき,もっと知りたい,調ベたい,体験したいと自らの向上心を刺激してくれた時である。


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