研究紀要第116号 「学校の活性化を目指す教員研修に関する研究 第3年次」 -026/117page
「授業を見る視点が広がった」,「授業のポイントが明確になった」,「協議の方向性を見つけやすくなった」など,分類作業を通してのメリットを挙げている。
また,本文(23P)の授業研究会の課題であった「形式的な反省に終わっている」「発言が少ない」「話の焦点が定まらない」という項目に関してはそれぞれ「深まった話し合いができる」「意見の交換が活発になる」「カードを分析することにより,協議の方向を見つけやすい」などが挙げられているので,これら3つの課題を解決するための一つの方法としてフリーカード法は有効であると考えることができる。
V 研究のまとめと今後の課題
1 研究のまとめ
この研究は,授業研究会の活性化を図るため,フリーカード法を取り入れ,その有効性を探ることを主眼として進めてきた。
その結果,次のことが有効であることが分かった。
(1) ニーズの調査とカードの内容分析から,学びたいと思っている内容がカードにも数多く書かれているので,研修したいニーズに応えることができる。
(2) カードを分析することによって,自分の授業を反省したり,課題に気付いたりするなど,授業の改善策を得ることができる。
(3) 分類作業を通して,授業を見る目が育成され,観察者自身の自己研修につながる。
(4) 観察者が共通の問題にしていることや,注目していることが浮き彫りになった状態で協議会が進められるので,協議会では,話し合いの視点が明確になり,深まりがでる。
(5) 一人一人のカードが活かされるので,授業研究会の参加意欲が高まる。
2 今後の課題
(1) フリーカード法を継続して行ったときの調査が必要である。
(2) フリーカード法でカードに記入された内容の検討(質の問題)をどのようにしていくかの研究が必要である。
(3) 数項目の授業観察の視点を掲げてから分散方式でフリーカードを取り入れれば,授業者のニーズに答えることができ,現職教育のテーマに沿った協議も深まるのではないかと考えられる。
(4) 校内における授業研究会では管理職の適切な指導・助言が大切と考える。
本研究を進めるにあたって,ご協力頂きました浪江町立津島中学校,相馬市立向陽中学校,講座に参加された先生方に感謝申し上げます。