研究紀要第117号 「学力向上のための授業改善に関する調査・実践研修 第3年次」 -029/117page

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学カ向上のための授業改善に関する調査・実践研究

学 習 指 導 部

研究課題にある「生きる力」の内容として,「問題を解決する資質や能力」,「豊かな人間性」,「たくましく生きるための健康や体力」などがあげられる。これらの能力を育成するためには,児童生徒の学力の実態を的確に把握し,個に応じた指導計画,指導法などについて研究し,授業の改善を推進することが大切である。
そこで,本年度の「授業改善を図る実践研究( I )」では,平成7年度と平成9年度に実施した「福島県の児童生徒の学力到達状況に関する研究」の結果を踏まえ,課題となっている領域を取り上げ,小学校5年国語,小学校5年算数,中学校3年英語で効果的な指導方法を探るための実践的な研究を行ってきた。また,「授業改善を図る調査・実践研究( II )」では,各教科の持つ特性を考慮しながら思考力,判断力,表現力などを育てるための授業改善に向けての調査・実践研究を行ってきた。ここでは,これらの研究の中から,小学校5年国語,小学校5年算数,中学校3年英語,小学校高学年体育,高等学校芸術(音楽 I )を紹介する。

I 研究の概要

1 研究の趣旨

「生きる力」を育てるためには,児童生徒一人一人が「生きる目標(生きがい)」を持ち,「自己実現」の充実感を味わえるようにすることが大切である。

児童生徒にとっては,学校生活の大部分を占めるのが授業であり,授業こそが「生きる目標(生きがい)」となるような魅力あるものに改善されなけれぱならない。

教師にとって,授業を通して児童生徒に確かな学力を身に付けさせることは大切な任務である。しかし,その「学力」は,単なる知識の獲得や受験のために必要な事柄の理解というものではない。「知識を教え込む教育」から「自ら学び,自ら考える教育」へというパラダイムの転換が必要である。

そこで,研究テーマにある「学力向上のための授業改善に関する調査・実践研究」において,「〜しようとする」のような情意面の能力,「〜できる」のような技能面の能力,「〜分かる」のような認知面の能力の3つが総合的に関連し合って児童生徒の学力を構成しているものと考え,研究を進めてきた。

昨年度からの学力到達度調査に関する流れから,「授業改善を図る実践研究( I )」として小学校5年国語,小学校5年算数,中学校3年英語を中心に研究に取り組んできた。

また,前述のように情意面・技能面・認知面の能力は総合的に関連付けて育成していかなければならない。これについては,「授業改善を図る調査・実践研究( II )」として小学校高学年体育と高等学校芸術(音楽 I )について研究してきた。

2 研究・実践の内容

(1) 「授業改善を図る実践研究( I )」

平成7年度と平成9年度に実施した「教研式・全国標準診断的学力検査・NRT」(図書文化社)をもとに,「学力到達度調査に関わる研究」の調査分析を通して,小学校5年国語・算数,中学校2年国語・数学・英語について本県の児童生徒の学力の実態を把握し,主に認知面の学力の向上に関する課題を明らかにしてきた。特に,平成9年度には,到達状況の低い領域について,「授業改善に向けて」として指導例を提示した。今年度は,この指導例をべースにして授業改善に向けた指導の在り方を小学校5年


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