研究紀要第118号 「基礎学力向上のための授業改善に関する実践的研究」 -051/117page
基礎学カ向上のための授業改善に関する実践的研究
−思考活動を活発にする観察・実験,実習の工夫・改善−
科 学 技 術 教 育 部
思考活動を通して児童生徒が自ら獲得した知識・理解,技能は,「生きる力」としての基礎学力となると考える。理科と技術・家庭の学習では,観察・実験,実習が重視されている。観察・実験,実習の過程では,児童生徒が自ら考えたり工夫したりすることなど,思考活動を行う場面が多い。そこで,本研究では,児童生徒の思考活動を活発にするための観察・実験,実習の工夫・改善を行い,知識・理解,技能を確かなものとすることをねらいとして,理科,技術・家庭で実践を行った。 実践の結果,次のようなことがわかった。 1 観察・実験,実習の教材・教具については,次のような視点からの工夫・活用が有効であった。 ○ 児童生徒にとって身近な素材を用いた教材 ○ 操作が簡便で直観的にわかる教材 ○ 製作活動通して課題意識を高め,発展させる教材 ○ 事象理解の段階を踏まえてスモールステップ化した教材 ○ 直接観察が難しい事象を疑似体験できる教具 2 観察・実験,実習の展開については,次のような観点からの工夫・改善が有効であった。 ○ 多様な生徒に対応した「実験群」「実習群」の導入 ○ 事象や事象間の関係の把握を支援するワークシートの活用 ○ 児童生徒が観察・実験,実習を自ら選択できる場面の設定 ○ 観察・実験,実習の機能を高める形成的な評価とフィードバック I 研究の趣旨
これからの学校教育では「生きる力」の育成を基本とし,知識を一方的に教え込む教育から,子供たちが自ら学ぴ,自ら考える教育への転換を目指すことが必要である。
自ら学ぴ,自ら考えるということは,自分で課題を見つけ,体験や学んで得た知識をもとに自分から進んで考え,判断しながら課題の解決を目指していくという積極的な活勤と捉えることができる。自ら考える力は,授業の中で,自分から進んで考えて問題を解決するという活動を数多く体験することによって養われていくものと考える。
昨年度の研究の成果から,児童生徒の思考活動を活発にすることは,知識・理解,技能の獲得に有効であることがわかった。
理科,技術・家庭の学習では,観察・実験,実習が重視されている。これらの活動の過程では,児童生徒が自ら進んで考えたり,工夫したりするなど思考活動を行う場面が多い。これらの体験活動を通して獲得された知識・理解,技能は「生きる力」としての基礎学力となると考える。
本研究は,児童生徒の思考活動を活発にするための観察・実験,実習の工夫・改善を行い,知識・理解,技能を確かなものとすることをねらいとした実践研究である。