研究紀要第119号 「情報ネットワークの教育活用に関する研究」 -073/117page
ネットワークを利用したデータ集計システムの開発
長 期 研 究 員 佐 藤 雅 義
研究の要旨 インターネットを利用して情報を収集・交換する方法の一つとしてE‐Mailがある。しかし,E‐Mailは使用するソフトによってデータの形式が異なり,多数の人からデータを集めたり,集めた膨大なデータを処理したりする際,多くの手間がかかることになる。そこで,これらの問題点を解決するため,インターネットを利用してデータを収集し,集計・処理するシステムの開発に取り組むこととした。システムの開発に当たっては,特に,簡単に入力できること,セキュリティが保てるものであることを重視した。 本研究は,その可能性を探り,導入が急がれているインターネットを教育活動の中で有効に活用するための一つの方策を提案するものである。 I 研究の趣旨
1 研究の動機
(1) 時代の要請
平成14年度から実施される新学習指導要領の総則に,コンピュータや情報通信ネットワークの活用が明記された。文部省は,すベての学校をインターネットで結び情報通信ネットワークを確立しようと,その環境整備に向けた施策を講じている。近い将来,確実に各学校がインターネットに接続され,電話やFAXと同じようにインターネットを利用する時代が到来すると考えられ,新しい通信手段として,その利用法を研究することは重要であると考える。
(2) 県教育センター業務
福島県教育センターでは,教育に関する専門的,技術的事項の調査研究を行い,研究及び研修の充実に努めている。これを受け情報教育部では,県内の学校約1000校を対象に,「パソコン活用状況等に関する調査」を行っている。アンケートの作成からデータの処理を行い整理するまでには,大変な手間と時間さらには郵送のための費用がかかっていた。そこで,インターネットを利用してもっと簡単にアンケート集計が行えればと考え,本研究に取り組むこととした。
2 開発の目的
インターネットを活用して,簡単かつ安価にデータ収集を行い,収集したデータを短時間に集計・処理するシステムを構築する。
II 研究の内容
1 開発の基本方針
本研究では,次の4点に留意してシステムの構築を行うこととした。
(1) ホームページの設計
誰でもインターネットのホームべージから,マウスのクリックと文字の入力だけの簡単な操作で,アンケートに回答できるようにする。
(2) 集計条件
インターネットのホームベージから,容易に回答を返信することができるようにする。
(3) 集計処理システム
返信されたデータは,サーバに蓄積し,Excelなどの表計算ソフトを利用することで簡単かつ短時間に集計・処理ができるようにする。
(4) ホームページの作成
アンケートの集計べージは,HTML言語の知識やホームベージ作成の経験があれば簡単に作成できるものとし,一部を変更することで様々なデータ収集が可能となるよう汎用性の高いものとする。
2 開発の方法