研究紀要第121号 「「生きる力」としての「学力」を育てる学校教育の創造」 -001/076page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

「生きるカ」 としての「学カ」を育てる学校教育の創造

〜小・中・高における授業の改造〜

研究推進委員会

 本教育センターでは,平成9年度より3か年計画で,研究課題を「(生きるカ)としての(学カ)を育てる学校教育の創造」と設定し全所的な体制で研究に取り組んできた。「生きるカ」は,これからの社会を生き抜くために欠かせない力であり,私たちはこの「生きるカ」を「人間として意味深く生きるカ」であるととらえた。そして,「生きるカ」として必要な「学カ」を学校教育の場ではぐくむためには,「生きようとするカ(生きる目標)」「活かすカ(自己改革)」「共に生きるカ(自己実現)」を総合的に育てていくことが大切であると考えた。そのために,「教師の改造」「教材の改造」「学級の改造」,そして,それらを基盤とした「授業の改造」という4つの視点を切り口として,それぞれに研究主題を設定して具体的な調査・実践研究を推進し,研究課題の解明に取り組んできた。
 ここでは,これまでの3年間の研究の経緯と4つの視点からの研究の成果や課題の概要について,簡潔に論述する。

I 研究の趣旨

 新教育課程完全実施に向けた移行措置が平成12年度より始まる。新学習指導要領は,中敷審が第―次答申で位置付けたこれからの時代,すなわち「変化の激しい、,先行き不透明な厳しい時代」に対応するため,社会の変化を踏まえつつ完全週5日制の下,「ゆとり」の中で「特色ある教育」を展開し,子供たち―人―人に「生きるカ」を培っていくことを基本的なねらいとしている。

 従って,各学校においては,この「生きるカ」の育成をこれからの学校教育の中心的な課題として,実践的に取り組むこととなる。「生きるカ」については,次のように述べられている。

・自分で課題を見つけ,自ら学び,自ら考え主体的に判断し,行動し よりよく問題を解決する能カ
・自らを律しつつ,他人と協調し,他人を思いやる心や感動する心など,豊かな人間性とたくましく生きるための健康と体カ

 そこで,私たちは,「生きるカ」としての「問題解決カ」「豊かな人間性」,そして,「たくましく生きるための健康や体カ」,この3つを総合的にはぐくむための学校教育の在り方を検討し,「生きる力」としての「学カ」を育成するための小学校・中学校・高等学校の授業改造の具体的な方策を明らかにするために本研究課題を設定し,3年間の研究に取り組んできた。

II 研究課題設定と「生きる力」

 1「生きるカ」としての「学カ」を育てる学校教育

(1)「生きるカ」とは

 「生きるカ」とは,「人間として意味深く生きるカ」であると押さえた。意味深く生きるとは,この社会の中で,自分は人間としてこうありたいと願い,自らを望ましい、方向に導いていくことである。すなわち,児童生徒―人―人が自己の目標のもとに自己実現を図るということでもある。そのための前提として「生きる目標」がなければならない。耐えるカが弱くなっている子供たちに必要なのは,この「生


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県教育センターに帰属します。