研究紀要第121号 「「生きる力」としての「学力」を育てる学校教育の創造」 -002/076page

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きる目標」を持たせることである。

 (2)「生きるカ」としての「学カ」とは

 「『生きる』としての『学カ』」を,「『生きる目標』を持ち,それに向かって『自己を改革』し『自己の実現』を達成していくカ」であると押さえた。

 (ア)「生きようとするカ」(生きる目標) 

 「人間として意味深く生きる」ためには,根源的なエネルギーである「生きようとするカ」は欠かせない。そして,「生きようとするカ」は「生きる目標」を持つことによって生み出される。従って,学校は―人―人の子供たちに,生きる目標を持つことができるように支援していく必要がある。

 (イ)「活かすカ」(自己改革) 

 また,人間として意味深く生きようとするためには,自己を改革していくことが必要である。そして,それを可能にするのが「活かすカ」であると考えている。この「活かすカ」は,基礎的・基本的事項の定着や習熟によって身に付けられる応用カや転移カということができる。

 学校は,基礎・基本の確実な習得や体験的な学習,問題解決的な学習を通して,問題解決に活かせる力を育てていくことが大切である。

 (ウ)「共に生きるカ」(自己実現) 

 「生きようとするカ」や「活かすカ」は,一人一人の子供たちが人間として意味深く生きていくために極めて大切な要素である。しかし,自己中心的な,排他的な姿勢で生きている場合には,前述の(ア)と(イ)のの2つが多くの問題の要因になる場合がある。

 そこで,「自己実現」を図る上で最も重視しなければならないのは,「共に生きるカ」であると考えた 「共に生きるカ」は,人間関係をつくる力であり,豊かな「自己実現」を支える力である。

 従って学校では,集団で学習することの特色を生かして,子供たち―人―人が「共に生きるカ」を身に付ける取り組みを,学校の全教育活動を通して積極的に推進していくことが大切である。

 (3)「生きるカ」としての「学カ」を育てる

「生きるカ」を育てることは,子供たち―人―人が「生きる目標」を持ち,「自己改革」の方法を学び,「自己実現」の喜びや充実感を味わえるようにすることである。これを先の「生きるカ」の要素と結び付ければ,次の図のようになる。


図

 では,「生きるカ」としての「学カ」を授業の中でどのようにして育てていけばよいのだろうか。

 授業の中で「生きるカ」としての「問題解決カ」「豊かな人間性」「健康や体カ」を総合的に育てることを私たちは,次の図のように考え,調査・研究に取り組んできた。


図

ここでは,例として「生きるカ」としての「問題解決カ」を育てる場合の方策例について述べる。

 「生きるカ」としての「問題解決カ」を育てるために,上の図のとおり,「生きようとするカ」「活かすカ 「共に生きるカ」を構成要素として押さえた。そのために,教師の指導カの向上にかかわる研究や温かい人間関係が基盤となることは言うまでもないが,授業設計・授業実践においては,要素との関係で次のことを方策として押さえた。


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