研究紀要第122号 「「生きる力」をはぐくむ教育課程に関する研究」 -016/076page
は,全学年の選択・総合の時間と3学年の社会の時間である。
そこで,各学校・各学年によって予想される不足時教は,計画された学習内容を弾カ的に取り扱う(月や週によって特別に選択・総合の時間を木曜日や金曜日の6時間目に設定(校外での学習も含む)したり,特にl年生においては,オリエンテーションの時間を4月に多く取るなど)ことによって解消できると考える。
<考え方 4> モジュール方式を取り入れる案
これは,45分や50分を最小単位とはせず,15分や25分を基本単位(モジュール)として,それを授業の内容や方法に照らし組み合わせて授業時間を設定し,それを基本にして時間割を編成する案である。
第2学年の例として,英語:25分授業2回・50分授業2回,理科:75分授業2回,選択・総合の100分の授業をl回実施し,調整時間を保健体育20時間+選択・総合15時間として考え,年間を通して同じ時間割で行う場合の時間割の例を以下に示す。
月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日 8:00〜8:15 生徒登校・朝自習 8:15〜8:25 朝の学級活動 8:25〜8:30 8:30〜9:20 国語 道徳 (英語) 数学 英語 (理科) 9:20〜9:30 9:30〜10:20 社会 国語 *調整時間 社会 10:20〜10:35 10:35〜11:25 (英語) 技術 社会 英語 数学 (理科) 11:25〜11:35 11:35〜12:25 技術 音楽 国語 保健体育 12:25〜12:45 昼 食 12:45〜13:30 昼 休 み 13:30〜14:20 数学 美術 総合・選択 学級活動 総合・選択 14:20〜14:30 14:30〜14:45 総合・選択 保健体育 清 掃 14:45〜14:55 14:55〜15:05 帰りの学級活動 15:05〜15:20 15:20〜15:30 15:30〜15:45 清 掃 15:45〜15:55 15:55〜16:05 帰りの学級活動 16:05〜16:10 この方式を取り入れることにより,理科や社会科などで,調べ学習を行う時間や実験や観察の時間が十分確保でき,また,英語や数学などの計算練習や単語を覚えるといったドリル的な学習活動は,短時間に集中して行うなど様々な活用が可能となる。
時間割編成についての具体例を<考え方1>から<考え方4>について述べてきたが,時間割の運用については各学校の実態や生徒の実態や職員数,そして,各教科の学習内容などと照らし合わせながら,学校の教育課程全体にわたって検討する必要がある。
III 研究のまとめ
1 研究の成果
「総合的な学習の時間」に関する実態調査を通して,各学校における取り組みの現状と課題を明らかにすることができた。また,実態調査の結果から,「総合的な学習の時間」を教育課程の中に具現するために今後解決しなければならない課題への取り組みや留意点をまとめることができた。さらに,「総合的な学習の時間」の具体的な展開の視点を小・中・高の各校種ごとに考察するとともに,実施に向けて校種共通に解決しなければならない視点を探り出すことができた。
2 今後の課題
今後は,各学校の「総合的な学習の時間」の実施に役立つ様々な情報を提供するとともに,教育センターの研修講座等でも「総合的な学習の時間」の具現に関する内容を―層充実させていくよう努めていきたい。<主な参考文献>
1)「小学校学習指導要領」 (文部省:平成10年)
2)「中学校学習指導要領」 (文部省:平成10年)
3)「高等学校学習指導要領」 (文部省:平成U年)
4)「小学校『総合的な学習」の創造」 (東京書籍)
5)「中学校『総合的な学習]Q&A」 (東京書籍)
6)「新教育課程における時程編成のために」 (東京書籍)
7)「総合的な学習考え方と実践ゆ壬引き-」 (小学館)
8)「横断的・総合的な学習へのアプロ―チ」 (静岡県総合教育センター)
9)「総合的な学習の時間-考え方・進め方-」 (干葉県教育委員会)
10)「新教育課程弾力的な時間割の工夫」 (ぎょうせい)
11)「総合的な学習の実践事例と解説」 (第―法規)
12)「教職研修総合特集時間割編」 (教育開発研究所)
13)「マナープ,ク」 (梧桐書院)
14)「動物飼育Q&A」 (埼玉県立北教育センター)
15)「教育研究岩手 N081」 (岩手県立総合教育センター)