研究紀要第130号 「自ら学び自ら考える力を育成する授業改善に関する研究2」 -033/074page

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自ら学び自ら考える力を育成する授業改善に関する研究2

−科学的な思考を促す授業を目指して−

科学技術教育部

 本研究は,自ら学び自ら考える力にかかわる要素に焦点をあて,これらの伸長を図るためには,児童生徒の科学的な思考を促すことができるような教材や授業展開の工夫が必要であると考え,授業実践や調査研究を行ったものである。ここでは,小学校理科,中学校理科,中学校技術・家庭,高等学校理科における取り組みについて紹介する。

1 研究の趣旨

 これからの学校教育においては,「生きる力」の育成を基本とし,これまでの知識を一方的に教え込むことになりがちであった教育から,児童生徒が自ら学び自ら考える教育への転換が求められている。

 自ら学び自ら考えるということは,児童生徒自身が自分で課題を見つけ,体験や学んで得た知識・理解,技能をもとに自分から進んで考え,判断しながら課題を解決していくという活動である。自ら学び自ら考える力を育成するためには,興味・関心,論理的な思考力や判断力など,この力にかかわる要素の伸長を図る教育活動を積極的に展開することが必要である。

 また,理科,技術・家庭では,観察・実験,実習などの体験的な活動や問題解決的な活動が重視されている。これらの活動においては,児童生徒が自ら課題を解決したり,事象を理解したりするなどの場面で,科学的な思考を活発にすることが重要である。

 以上のことを踏まえ,本研究では,興味・関心,論理的な思考力や判断力などの自ら学び自ら考える力にかかわる要素に焦点をあて,児童生徒の科学的な思考を促すことができるような教材や授業展開の工夫を行い,自ら学び自ら考える力を育成することをねらいとした。

2 研究の内容

1 研究の基本的な考え方

(1) 自ら学び自ら考える力の育成

 自ら学び自ら考える力を,自ら学ぶという面と,自ら考えるという面からみると,この力にかかわる主な要素として,次のものがあげられる。

《自ら学ぶという面から》
 ・ 学習に対する興味・関心
 ・ 知識や技能を身に付けることへの喜びや達成感
 ・ 内発的な学習意欲
 ・ 主体的な学習態度
《自ら考えるという面から》
 ・ 論理的な思考力
 ・ 創造的な思考力
 ・ 批判的な思考力
 ・ 判断力

 本研究においては,授業を通して,これらの要素の伸長を図ることが,自ら学び自ら考える力の育成につながるものと考えた。

(2) 科学的な思考

 児童生徒の学習では,知識,技能の習得や理解及びそれらを活用する過程,創意工夫の過程などにおいて,自分で考え,判断し,表現することが要求される。そのため,思考力の育成は重要なものであり,理科及び技術・家庭では,思考の基礎となる科学的な思考が極めて大切である。

 科学的な思考は,次のようにいくつかの要素に分けて捉えられる。

《科学的な思考の要素》
 1 問題を正しく把握する。
 2 適切な観察・実験,実習を計画する。
 3 比較し,分類する。
 4 数量的に把握する。
 5 結果を予想する。
 6 原理・法則を適用する。
 7 筋道を通して推論する。
 8 分析的に判断する。
 9 関連付けて総合的に判断する。
 10 モデル化して考える。

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