研究紀要第135号生きる力を育てる教育の情報化- 033/069page
生きるカを育てる教育の情報化
〜主体的に学び考え表現できる児童生徒を育む教育用コンテンツとその活用〜情報活用研究チーム
T 研究の趣旨
「教育の情報化」は我が国における喫緊の課題とされ,学習指導要領にも情報教育が重要な領域として位置づけられている。本県においても「教育の情報化推進プラン21」が策定され,うつくしま教育ネットワーク等によりハード面の整備は進められている。文部科学省が実施した「学校における情報教育の実態等に関する調査結果(平成14年3月31日現在)」では,一部に未接続校が残っているものの,本県のすべての県立学校および82市町村(90市町村中)においてインターネット接続を平成13年度末に達成している。
このようにハード面での環境が整う中で,授業で利用できる教育用コンテンツの整備とそれを活用した指導案,それらを活用した実践指導事例といったソフト面の整備・充実が今後の課題とされている。
また,学習指導においても児童生徒がコンピュータ・情報通信手段を積極的に活用しながら,主体的に学び考え,自分の意見を積極的に表現して授業に参加できるような学習活動を充実することが教師に求められている。このような課題に対応するため,教育センターでは県内の学校を対象に「教育の情報化」の実態把握を行い,授業で利用できる教育用コンテンツの開発とその活用に関する研究に取り組んだ。
1 実態調査
福島県内の公立学校における情報教育の実態等を把握し,情報機器を活用した学習指導および情報教育関係の研究や講座内容の改善充実に向けた基礎資料とするため,「福島県の情報教育の実態等に関する調査」を4月に実施した。
(1) 調査期間 平成14年4月19日〜5月17日
(2) 調査時点 平成14年4月現在
(3) 調査方法 Web・FAXによる回答
(4) 調査対象
調査対象は福島県内の市町村立および国立の小学校と中学校,県立の高等学校,市立および県立の盲・聾・養護学校
(5) 回答数 学校892校
(6) 調査結果
@ 情報機器の活用目的
各校種とも,教科指導や教務・事務等に情報機器が活用されている。特に,中学校・高等学校では進路指導での利用が多く,特殊教育学校では教育相談などでの利用が多いのが特徴である。
A 情報機器の教科での利用
小学校・中学校・特殊教育学校では,児童生徒の学習への関心・意欲を高めるために情報機器が活用される傾向が比較的高い。高等学校では,生徒の自主的な活動に利用される傾向がある。その反面,問題解決能力や思考力の育成など,情報機器の利点とされる面での活用については,校種を問わずあまり進んでいるとはいえない状況にある。
B 必要とされる教育情報
授業で利用できる教材・資料・指導案・実践事例に対する二ーズが全ての校種・教科に共通して求められていた。