福島県教育センター所報 第4号(S46/1971.12) -009/025page
て掲載するようとの求めに応じ,モデルとして取り上げたのが安積郡大槻小沿革誌で,「此ノ事ニ従ハルル諸氏ノ参考ニ供ス」(前出誌,同号)と述べ,20和4月より21年3月までの分を紹介している。
(1)沿革略記,(2)記事要略,(3)職員,(4)職員勤欠,(5)卒業生,(6)修了生,(7)及落,(8)出席,(9)入退学,(10)図書器械標品及財産,(11)経費出納,(12)校舎,(13)操行査定簿,この他に付録表類として次のような目録をあげている。
1 職員一覧表 2 学年末現在職員勤欠一覧表 3 学年末卒業生一覧表 4 学年末及第生徒表 5 学年末学業成績表 6 学年末及落一覧表 7 本年度1ケ月平均出席一覧表 8 本年度生徒年令最多寡一覧表 9 本年度入退学一覧表 10 統計表 11 本年度図書一覧表 12 本年度器械及標品一覧表 13 本年度財産一覧表 14 本年度学資収入一覧表 15 本年度学資支出一覧表 16 敷地及校舎坪数 17 敷地及校舎略図 第1年報(20年度)から第4年報(24年6月)までを綴りこんでいるが,不正確な資料を根拠に「強テ編集センカ 白ノ差謬ヲ生スルカヲ恐ルルノミナラズ実地参考ニ供スルヲ得ズ(以下略)」(同校沿革誌2ぺ一ジ),と述べている。したがって,沿革誌の編さんに汲々としている段階にあるので,脱稿するまでは年報形式にとどめておこうとする考えであった。21年(校長鎌田安治)から25年以降(校長海野文蔵)31年1月までの当校の沿革誌は,たしかにすぐれており,当時の教育行政状況あるいは,郡下の教育問題を如る上での貴重なものである。
(安積郡の場合は,25年に編さんの訓令を出している。)
なお信夫郡飯坂尋高小第1年報(自明治6年7月至23年4月)は,第5章に「規則ノ事」として,職員・小使の服務規定があるほかは前出校の形式とほぼ同じである。県教育会は,「学校沿革誌ヲ編纂スルニ其取調ブベキ項目ヲ区別シテ教ヘラレタシ」の質問に対し,二つの案(同雑誌24年12月第75号)を示すと同時に,河沼郡各小学校長が郡長の諮問に応じて決定した綱目も紹介し,研究・改良をうながしている。双葉郡(29年1月),相馬郡(同年10月)南会津郡(29年6月)と若干のおくれはあったが,24年から29年にかけて,各郡が一定の記載項目およびその要項を決定し,それに準拠して進められていく。
4. 視察・報告による学校沿革誌の状況
会津五郡を巡視した鈴木亀寿の「巡回所見」(24年3月第66号前出誌)によると「(前文略),沿革誌ノ調整セサルハ一般ニシテ,ヨシヤアルモ四五枚ノ反古紙ニ過キス(以下略)」とある。南会津郡は「やっと材料収集に係れり」(南会津学事景況「27年1月前出誌第19号」とあり,訓令甲第73号'(32年12月)による備付義務の規定後もあまりかわっていない。小学督業の詰問には「目下材料収集中ナリ」とか「役場カラ用紙来タラズ」「教員変換ノ頻繁」等を述べている。ちなみに21年3月県がまとめた「小学校職員勤務年数及年令表報告ノ件」(学第263号、県庁文書)をみると,1年未満で異動した校長55名,訓導117名,授業生を入れるとさらに多くなる。「我々教員は新令以来為すべき業務多く校務と授業とは到底完全に掌理し得す自然校務に欠典を生するなり」(前述「南会津学事景況」)として,沿革誌は表紙のみ,中は白紙であったという。相馬郡鹿島尋小沿革誌(29年10月)のように,調査例をあげ,調査方針,記載方法を具体的に明示しなかったことに抵抗もあった。また,記載者について,「梁川尋高小内規」(37年4月),「学校内規」(〜大正2年共和尋高小),「学校規程」(高田尋小,不明)のように文書係等が記入するようになっており,三春尋小・大槻尋小の沿革誌にも見られるように4〜5か月で退職,異動の多かった当時の状況下では,編さんに与える影響は大であったようだ。
「視学指示要録」(35年11月18日湊尋小)には「32年県訓令第73号ノ諾帳簿ヲ至急整理セラルヘシ」以下,「同要録」(34年10月共和尋小)「同要録」(37年12月栃山神尋高小),「視学視察簿」(43年5月御舘尋小)等いずれも沿革誌の備付,記載方を指示している。さらに「郡視学視察要項」(35年訓令第240号)の項目中に「規定帳簿類ノ整否」により,学校ごとにチェックし,郡長が一括し県知事(有田)に報告(学第12号,36年)しているが,三郡を除いては末記載,不整理が多いまま次の段階をむかえる。
センター研修室だより
第3研修部
小原 健次郎
第3研修部は,文部省の情報処理教育センター設置要項に基づいて,設置されたものであり,ここにその概要を紹介したいと思います。
1 設置の目的
高等学校における,電子計算機を中心とする情報処理教育に係る生徒の,共同実習・教員の研修を行なうための施設として設置し,本県に於ける情報処理教育の推進を図る。