福島県教育センター所報ふくしま No.16(S49/1974.6) -024/025page
●高等学校の部
講座名
主な内容
教育工学講座 ○教育工学概論・プログラム学習・OHPの使用法と教材作成・VTRの使用法TV教材の作成・アナライザーの使用法
○教育機器活用の現状と問題点国語講座 ○文学の読解・鑑賞(現代,古典)の理論と実際・国語語彙の特質・中国文学とその思想・学習意欲を高める指導の探求 社会(倫・社)講座 ○「倫理,社会」指導上の諸問題・中国文学と思想・日本思想の課題・「現代と人間」,「現代と思想」の取り扱い・思想文化碑調査・OHPの活用とTPの作り方・社会科における評価 数学講座 ○数学教育と学習心理・電子計算機と統計の指導・現代数学(確率論,幾何学一般,数学的構造,統計的推測) 音楽講座 ○音楽教育の動向と基礎理論・小アンサンブル(たて笛,ギター)の指導・鑑賞(日本の音楽)指導法・筝奏法
○エレクトーン奏法美術・工芸講座 ○美術,工芸指導の基礎理論
○彫塑・木材工芸書道講座 ○書道指導の基礎理論・教材研究・鑑賞 保健体育講座 ○保健体育科指導上の諸問題・運動生理学
○学校体育の現状と課題・格技の学習指導
○教育機器の活用・学習指導法
○体育の学習の評価英語講座 ○英語教育の基礎理論・英語音声の理論と演習・英語口頭演習・LL演習 理科講座 ○新しい実験・観察法の研究・新しい実験法をとり入れた指導法の検討
○理科機器の操作法・実験教具の製作家庭講座 (食物コース)・日常食品を関する調理実験・実習・食品衛生に関する実験・食物関係試験機器の操作実習
(被服コース)・被服材料の性能に関する実験・縫製に関する実験・スタイル画のかきかた・洗浄力試験情報処理(C)講座 ○電子計算機の機能と構成・プログラミングの基本・COBOL言語によるコーディング・プログラムのカードせん孔実習
○電子計算機による実習情報処理(F)講座 ○電子計算機の機能と構成・プログラミングの基本・FORTRAN言語によるコーディング・プログラムのカードせん孔実習
○電子計算機による実習数値制御講座 ○NC操作実技・FANUC220-Aによるプログラミング・DR6300の操作実技
○NCによる切削実習教育相談講座 ○教育相談の問題点・教育相談事例研究法
○性格検査(P−F検査)・心理診断
○教育相談のすすめ方●小・中・高校共通の部
講座名
主な内容
学校経営(A)講座 ○学校経営の意義,機能・教授組織の改善
○学校経営の評価・学校の組織と人間関係
○教育課程の管理・主題研究学校経営(B)講座 ○学校経営の意義,機能・校内研究のすすめ方・学習指導法の改善・学年経営と人間関係・教授組織の改善・主題研究 地域指導者講座 ○主題研究・教育工学・教育研究法
○学習指導法の改善・生徒指導のすすめ方
○授業研究法
あ と が き
昭和49年度第1号,通刊第16号ができました。お届けします。本センターは,過去3年間,「教育内容・方法に関する研究,資料提供」,「探究的に学習をすすめるための研究」にとりくみ,一応の成果をおさめることができたので,本年度は,発足4年目を迎え,「学習指導の最適化をはかるための手だて」の研究テーマに取り組んでいくことになりました。現場の教育実践に役立てば幸いです。
ところで,ちなみに私企業における「最適化」について言及してみますと,これは一般に「最適生産量」(Optimum Output)といわれ,この場合の操業度が「最適操業度」(Optimum Operation)であり,生産量1単位の増加に対する総費用の増加を表す限界費用曲線と,生産量1単位の増加に対する収入の増加を表す限界収入曲線との交点での生産点(Optimum Point)をいうのであって,この交点で生産量を決めれば,いわゆる「極大利潤」が得られるわけで,いいかえれば,限界利潤がプラス値からマイナス値に転ずる点が,極大利潤を生みだすための条件となります。
私企業における生産の場合には,投入量と産出量はすべて計量でき,かつ貨幣価値に変換され得るのですから,労使関係管理や人間関係管理に多くの問題を残しながらも,最適経営のあるべき姿を,計数的に追究することが可能なのですが,これが教育の場合にはいかがなものでしょうか。
まず,投入量を計量化したり,貨幣価値化したりできるでしょうか。例えば,教師の人間性,教育愛,教授カ,教養,感化カなど。産出量では,なにを,どのように計量するのか。「教育評価」は,教育の成果の科学的バロメーターとしての客観性と恒常性を持ち得るのか。産出量の計量化には投入量以上の困難が存在しているように思われます。あるいは,「教育」という営為そのものに,人間的接触という機能の存在を容認する限り……。
ともあれ,教育の面における「最適化」には,たいへん困難な諸問題が横たわっていると考えられるだけに,取り組みがいもあろうというものです。資本主義生産における「利潤追求」,社会主義生産における「生産性向上」のような,金科玉条的な統一的な目標を,「教育」の分野にも樹立することができないものでしょうか。
第20号まで,常に未来への展望と可能性とを模索しながら,一歩でも前進したいと念願いたしておりますので,いろいろとご意見等もお寄せくだされば幸いと思います。
(K)