福島県教育センター所報ふくしま No.19(S50/1975.1) -020/026page
女子教員による教育と児童・生徒の性格形成について
研究・相談部 佐藤 守男
第2次世界大戦後,わが国における女子教員の台とうは目ざましく,特に小学校においては完全に女子教員の数が男子教員のそれを大きくうわまわってきている。さらにこの傾向はますます強まっていくものと考えられるが,このような事態にいかに対応し,より効果的な教育を実施していくべきかの研究は,数少なく,組織的,計画的におこなわれているとはいえないものがある。このような観点から,本研究では,教師性差が児童・生徒の性格形成にどのよう恋影響を与えているのだろうか。さらには,それに対応する教授組織の最適化はいかにあるべきかをは握し,教育実践の場で実際に役立つものを得ることを目的として実施したものである。
I 調査の方法
A 調査対象……福島市,郡山布,三春町の中学校3校,1年生647名,高校2校,1年生521名合計1,168名を対象とした。
B 調査期日……昭和49年4月中旬
C 調査方法は質問紙法とし,第1部は小学校6年の間,あるいは小・中学校の9年間を通じて,女子教員によっていく年間担任されたかをチェック・アウトさせ,第2部には中林式簡易性度検査(男性的,女性的な反応を測定するテスト)を設問した。さらに第3部では,男女それぞれの教師に習って良かった点,悪かった点を記述させた。
D 調査期日を新学期当初としたのは,中学校教育が小学校教育のデータに,高校教育が中学校教育へのそれにできるだけ影響が少ない時点を考慮したためである。 II 調査結果および分析
表Iは,質問の第1部―女子教員によって担任された年数とそれらの生徒の度数をグラフ化したものである。
表I 女子教員に担任された年数と生徒数 これによれば,小学校6年間,あるいは小・中学校9年間を通じて,女子教員によって担任された教育期間は,4年間のものをピークとして全く女子教員に担任されたことがないものが1〜2%,9年間のすべてを女子教員に担任されたものが1%の広がりを示していることが分かる。
この表でみる限りでは,小・中9年間の分布曲線はややガウス曲線に近いものとなっているが,中学1年生の調査から得られた小学校6年間の分布曲線については,3年期間担任のところに陥没が生じているのが目立つ。これは,高校生対象の調査と異なり,同一地区内小学校から
表II 女子教員によって担任された年数
表III 女子教員によって担任された年数
(小・中学校の9年間)