福島県教育センター所報ふくしま No.19(S50/1975.1) -021/026page
同一地区の中学校に集中入学することが全体のバラツキを少なくしているためと思われる。したがって,さらに広範囲の地域から数多くのデータを収集すれば,このギャツプは消失するものであろうと考えられるものである。
上記の表IIおよび表IIIは,女子教員による担任年数とその生徒数の関係を円グラフ化したものである。ここで,表I〜IIIから極めて大胆な結論を抽出するならば,次のようなことがいえよう。
すなわち,小学校6年間のうち,4年間以上にわたって女子教員に担任される者の数は,60パーセント以上にもおよび,中学校までの9年間では,65パーセント近くまでに達する。したがって,男女両性の教師が共にそれぞれの特性を生かしあいながら,児童・生徒の健全な人格形成をすることを教育の理想とするならば,今後の教育行政・学校経営などに大改革が必要となってくる。しかしながら,現在の教育行政のありかたや,杜会的なすう勢から考えてみて,これは一大問題であり,望んでも望み得ないことであるかもしれない。したがって,現在の教育のシステムの中での,実践的な教育の場の最適化こそがわれわれに残された唯一の方法となる。すなわち,できるかぎりにおいて異なった性の教師,できる限り異質のパーソナリティを有する数多くの教師によって児童・生徒が教育を受けることが可能となるように学級組織の編成を考慮し,さらには,学校経営の方針や教員組織のありかたをできるだけ工夫していくことである。これらの配慮がなされることによって,教師の性差の違いによって引き起こされるへい害は,大幅に除かれると思うが,これらの具体的な方法については後述することとする。
表IVは,女子教員によって担任された教育年数を横軸に,性度測定テストの得点スコアを縦軸にして示したものである。常識的に考えてみて,女子教員に習った期間が長ければ長い程,児童・生徒は男女共に女性化の傾向を示すと考えられるが,本調査による限りでは, 女子教員に担任を受けた年数が長ければ長くなる程 , 男子生徒は男性化の傾向を強め (性度テストの得点が高くなる) 女子生徒は女性化の傾向を 示しているという結果が得られた。
表IV 女子教員の担任年数と性度テスト得点 さらに,これを性度テストの中の5つの下位テスト――憤怒・恐怖・嫌悪・同情・邪悪,における得点から分析を加えれば次のことが推論される。
表V 憤 怒
表VI 恐 怖
表VII 嫌 悪
表VIII 同 情
表IX 邪 悪
(1) 男性度・女性度を決定する要因と考えられる5つの項目のうちで,憤怒および邪悪の項目に関しては,女子教員の担任年数が長くても短かくても,あまり変動が無く,男子生徒と女子生徒間の得点平均にも差がほとんど見られなかった。