福島県教育センター所報ふくしま No.21(S50/1975.6) -021/025page

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   小学校教育相談講座に参加して

                        楢葉北小学校 猪狩みね

 6月16目より19目までの3泊4目間にわたる小学校教育相談講座を受講してみて,講座を受ける前にいだいていた不安,講座が長すぎるのではないかという感じは,まったくの疑くであることがわかりました。これは講座担当の諸先生方が,熱心に情熱あるご指導をなされてくださったからであると思います。

 教育相談の充実というスローガンは,すでに10数年前から掲げられてきていますが,小学校現場においてはいまだに活発な動きは見られず,沈滞のまま今日にいたっているといっても過言ではありません。その理由として数々のことが上げられますが,まず第一に「現場教師の教育相談についての共通理解の不足」が考えられると思います。このことについては,今回の講座に県下各地区から参加された先生方の発表報告からも裏付が十分に読みとることができました。また、このことは,学校現場において今日からでも改善を図るべき問題でもあるという再認識にもつながっているとも思えます。

 以上のことがらからみて,“教育相談とは何か"その理論的接近の方法は,さらには,その実践的手法は,などについていろいろと教えを得ることができました。今回の講座は,本当に有意議なものであったと思います。本講座で学びとったものを,一目でも早く現場に持ち帰り,現場教師全員の共通理解を深めながら実践に移して参りたいと考えております。

 ロール・プレーイングの演習も,興味深いうちに新しい視野を拡げることができ,Y-Gテスト,ソシオメトリックテストの講義と演習は,自己自身の人格判断や児童理解の方法にもつながり,まことに有益であったし,また,精神科医による講義は,精神医学的立場から見た障害児という,新しい理解の方法を教えてくれるものであり,保健衛生の面から児童を見る新しい目を開くことができました。

 いま講座を終り,こうしてこの感想を記しているわけですが,今回の講座はまったくすばらしく,早速現場に帰りました際には,十二分柱活動をやらなければならないという気持ちで一杯です。

 講座の日程も非常にゆとりがあり,計画も十分に検討されたものであり,受講生の精神衛生上からもまことに適切であったと考えております。

 このような有益衣講座には,県下全教師が参加し(年次的に)共通理解を深めれぱ,福島県の教育効果が倍増するものと確信いたしております。


     クイスチョン・アンド・アンサー(教育用語解説)

<質問>  登校拒否の子どもが,腹痛・はき気・頭痛をおこすので,医師にみせたら,“心身症"といわれました。” 心身症 ”とは一体どんなものですか。

〈答〉 心身症とは,心のしこりから始まる病気の総称です。ご質問の登校拒否のなかにも心身症によるものが多くみられます。

    人間の病気には心の関係しない病気は,ひとつもないといわれています。だからといって,病気がすべて心身症とはいえません。病気の中で特に心理的な要因の強いもので,強力な「心理療法」を必要とするものを心身症と呼びます。

    心身症やノイローゼの発病は,欲求不満や適応と大きなつながりを持っています。特に欲求不満に耐える力(トレランス)の強弱に左右されます。そのトレランスの強弱は性格の問題であり,性格は主として家庭環境で形成されるといわれています。

    したがって,登校拒否の子どもの取り扱いは,その子どもの欲求や性格,家庭環境などを十分知り,医師・学校・専門機関の協力を結集して治療することが大切です。

<質問>  教育工学や教育評価関係の本を読むと, フィードバック という言葉がよく山てきます。このフィードバックとはどんな意味ですか。

<答>   フィードバック(Feedback)とは,生体や機械が,目標に向って作動する際に,目標からどのぐらい離れるかを観測し(又は観測され)その結果によって目標に近づくように修正される一連の機能のことをいいます。

     たとえば,教師が生徒を教育する場合,一方的に講義形式だけで情報を与えるのではなく,生徒に応答を求めながら,教育目標と学習された内容の差をしだいに少なくするように情報をあたえることなどは,授業形態におけるフィードバックと考えてよいでしょう。

     もともとこの言葉は,Feed(えさを食う)+back(もどす)から,「食い戻し」するという意味に使われるようになり,電気関係用語として=出力の一部を入力に返還することによって行われる調節作用として使われだし,教育関係用語としては,近年になってから多く使用されるようになったものです。


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