福島県教育センター所報ふくしま No.23(S50/1975.10) -025/026page

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クエスチョン・アンド・アンサー(教育用語解説)

<モデル>

理科の学習において,白然の事象について情報を収集し,それを処理したり解釈したりして,その実体を明らかにしようとするとき,頭の中で収集した情報と既有の知識を結びつけたり,比較してみたりする。その結果,何らかのイメージがわいてきた場合,このイメージが探究している事象についてのモデルである。例えば,水に溶解した食塩のゆくえを追求するため,食塩水のろ過を行った場合,にごり水をろ過したときの経験と比較して考えて,ろ紙の穴と粒子の大小関係から,非常に小さい粒子の存在が頭に浮かんだとすれぱ,その,「非常に小さい粒子」は,水に溶解した食塩のモデルである。このようにして作られたモデルは,図に書いて示したり,紀号や数式にしたり,あるいは。モデルを表現する具体物を作ったりすることによって,―層はっきりしたものにすることができる。さらに,このモデルによって,未知の事実や現象を予想することができるが,この予想は新しい情報によって確認されたり,修正されたりして,より本物に近いモデルが形成されることになる。しかし,どんなに本物に近いモデルが形式されても,それは自然の事象そのものではないので,モデルには当然適用の限界があるわけである。したがって,形成されたモデルと自然の事象との間で,どこが対応し,どこが対応しないかを明らかにすることが指導上必要である。

<プラックポツクス>

もともと,箱の中に機械的なからくりや電流回路などを組み入れて密閉したもので,箱の外側から観察したり操作したりして内部の様子を推論するものである。例えば,ここに中身のわからない包みがあって,包みを開けずに,それを手に持って重さを調べたり,振ったりたたいたりして中身をあてようとする場合,この包みはブラックボックスである。理科の学習では,自然の事象そのものをプラックボックスと考え,その中の状態を調べる過程が,自然の事象について理論や法則をつくって行く科学の探究の過程である。先の例で言えば,包みの重さを調べたり,振ったりたたいたり等の操作は,測定や観察による情報収集に相当し,それに基づいて中身をあてるまでの過程が推論であり,その結果,包みの中身について想像されたものが,中身のモデルといえよう。したがって,自然の事象においては,外からの操作によって得られる情報以外に,それを調べる手がかりはないわけであるから,推論が正しいかどうかを確かめるために内部を開けてはいけないのであって,包みを開けたとたんに内部の様子が変わってしまうような性質をもつものである。

また,中身のわからない箱にある操作を加え,それに応じた反応を引き出し,箱の内容,しくみは問題にせず,加えた操作と反応の関係を利用する場合,この箱もプラックポックスである。例えば,電流計の構造がわからないままにこれを使って電流を測定した場合,これは電流計のブラックボックス的な使用であり,このような使い方も探究の過程では大切であるといわれている。

<アルゴリズム>

幼児に買い物をたのむとき,どの幼児にたのんでも同じ結果になるような話し方をしなければならないとすれば,その話し方の順序こそアルゴリズムにのっているという。

また,低学年児童が親の手をかりずにプラモデルをひとりで作り上げるならば,プラモデルの説明書はアルゴリズムにのって書かれていると言えるのである。

アルゴリズムとは,その手順にならえば期待の結末がだれにでも与えられるという考え方の約束だから,結果までの過程がきまっている料理とか理科の実習などは,プラモデルの説明書よろしく,例えば流れ図によって容易にその作業工程を図で示すことができよう。

その工程の流れ図ができれば,そのときから説明に要した説明時間が,余剰時間となって説明書に還元されよう。

流れ図ができるほど,その余剰時間は説明者にとって教育をゆたかにするものとなろう。

すでに流れ図は,雑誌の付録にすらみられる時代になった。いわぱアルゴリズムはあるものを処理する手法として中学生に対面している。大学の進試にも登場した次第である。たしかに有能で便利だから……。

人間の思考法のうちでも,現代ないがしろにできないテクニックである。

詳細は数学,英語担当者の裡にある。


あ と が き

・所報第23号をお届けします。秋も深まり,研修・教育活動の好季節となりました。一日一日が実りのある実践となるようご活躍ください。

・県教育史も去る3月末をもって全5巻完結いたしました。教育県福島として先輩諸兄が実践された輝かしい足跡をたどってみることは,現職の私達にはよい道しるべとなります。大いにご愛読,ご活用ください。

・各校においては,本年度における研究等の成果を整理保存活用されることと思いますが,日ごろの実践研究の記録は貴重なものでありますので,当センターにもぜひ一部にご寄贈いただきたいものです。


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