福島県教育センター所報ふくしま No.23(S50/1975.10) -024/026page

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小 学 校 理 科 移 動 講 座 を 受 講 し て


本 宮 町 立 本 宮 小 学 校 玉 村 節



9月2日より9月4日までの3日間にわたり,小学校理科移動講座が本宮小学校を会場にして開催され,私も受講者のひとりとして研修する機会にめぐまれて,日頃,理科指導について何かと抵抗を感じていた矢先だけに,今回の受講が大変有意義なものとして身につくものが大きかったことを感謝しております。

また,講師先生には,残暑の厳しい毎日を早朝からの研修会場の準傭,実験観察用具の点検準備,行き届いたご指導の数々を通して,なにより楽しく研修できたことにお礼申し上げたい気持ちです。

第一目目からニ日目の午前中は,「溶解に関する教材」の研修でしたが,セッケン,ホウ酸,食塩などが,水に溶ける状態を細かく観察したり,気体の性質しらべなどの実験をしましたが,実験器具の取り扱いや操作など,初歩的な段階からの指導にもかかわらず,いざ私たちの手ですすめてみると,思うように実験ができないときがあったりしました。特に,酸素を集める実験の時など,何度かやりなおしたりしたこともあって,指導に先立っての事前の準備,予備実験等,私の日頃の理科指導に対する反省を強くしました。

第ニ日目の午後からは,「天体についての教材」を中心にしました。天体は,身近にあって遠いものとして,比較的指導しにくい教材ではないかと思います。

私などは,理科教材の中では,最もにがてなものとして敬遠する方ですが,今回の研修を通して興味と自信が生まれてきたように思います。

例えぱ,月の指導をする場合など,月の運行やみちかけについて,その現象を追って教えてしまうのですが,その現象が他のつながりによって左右される点を無視してしまう結果,実験観察を通して思考を深めるための,思考の手順を落とした指導になり,現象の事実を裏付ける論理に欠けたものとして,知識の理解にとどまっていたように思われます。月の運行を学ぶにしても「地球と太陽と月」の関係を知ることによって,月がどのように動くのか,また,月がどのようなみちかけをするのか,が,大きく他の天体とのかかわりによってとらえられたら,単なる知識としておさえられる以上に,深まりのある理解となるのではないかということに気づきました。

今,講座を終えて教室にもどり,喜々として私を迎えてくれる子どもたちからは,強い信頼の眼差しを感じます。この眼に答えて,講座で学んだ有形無形の収穫をいかして参りたいと思います。


高 等 学 校 数 学 講 座 に 参 加 し て


福島県立磐城女子高等学校 渡 部 貢



8月26日,例によって福島特有の暑い午後1時からの入所式にのぞんだ。館内は冷房がきき,実に気持ちがよかった。館内の気持のよさとは反比例して,これから8月30目までの5日間の講義の内容を考えると冷房にもかかわらず冷汗が出てくる。参加された先生方は全部で36名だが,みんなの顔を眺めてみると緊張しているようである。第1日の講義・演習は津田先生の統計的推測擬似乱数の数学的基礎であった。私などは,合同法としてのフィボナッチ法,乗算的合同法,混合合同法の話は,初めて聞いたので,学習不足のため,これからの講義・演習を考えると,あと4日間をどう過ごすか大いに悩んでしまった。しかし,フォートラン文法の初級,上級を受けて,参加している先生もおられるので,仕方のないことかと自分にいいきかせた。第一日の夕食を食べてみて,ここに参加する前から聞かせられていたことが本当だったので少し安心した。満腹感を与えてくれたおばさん達に感謝している。

第2日目の福大の河野先生の数学教育と学習心理の講義はユーモアあふれるもので,あきさせず,大変参考になった。午後からは,東北大の土倉先生の確率論の講義を聞き,学生時代にもどったようた感じを受けた。第3目目は金沢先生によるフオートランの講義で,首からさげた眼鏡は特に印象的で,身ぶり,手ぷりよろしく初級の者にわかり易く,あとからの演習のために参考になった。午後と第4日の午前中は電子計算機の演習で,内容を理解しようとつとめるのに精一杯で,機械にふりまわされた感じで,ぐったりする。8月29日(第4日目)の午後になると,なんとなく,「あとまる一日だなあー」と,どこからともなく声が聞こえ,福大の佐藤先生の講義を聞く。8月30日の朝の顔,みんな眠そうである。最後の東京理科大の柴田先生の解析学の講義を聞く。講義終了。

「ああ,やっと終ったな」という表情はみんなから感じられた。同室で5日間を共に暮した人々と,再会を約束し,別れる姿は非常に印象的であった。


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